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これはアメリカ薬剤師が実証した話です。

「アッシュビルプロジェクトは薬剤師も治療に貢献できることを実証した」と、このプロジェクトの関係者たちは言います。

アッシュビルプロジェクトとは

アッシュピルプロジェクトとは、アメリカノースカロライナ州にあるアッシュビル市で1997年に始まり、10年以上も続いているカウンセリングプロジェクトのことです。

例えば……

糖尿病患者さんが処方箋薬を受け取りにくる日とは違う、患者さんの都合のいい日に薬剤

師に面会して服薬、あるいは療養指導を定期的に受けます。

このカウンセリングを続けてもらうことと引き換えに患者さんの薬の自己負担金を無料にするというプロジェクトなのです。

その一方で、そのカウンセリングを行う薬剤師は1分1~2ドルのカウンセリングフィーが支払われます。

アッシュプロジェクト開始に至るまでの経緯

地域の薬局薬剤師にできる臨床サービスは何か?

を考えた時に、このプロジェクトの構想が発案されました。

このプロジェクトの構想に逸早く賛同したのがアッシュビル市です。

アメリカの保険制度は日本とは違う

日本は国民全員、保険に加入していますが、アメリカには、そのような制度が当時はありませんでした。

高齢者、低所得者以外は勤務先の会社、団体が提供する民間保険で医療費を賄いました。

アッシュビル市の取り組み

このプロジェクトに賛同したアッシュビル市がまず、アッシュビル市職員とその扶養者に提供する保険にこのプロジェクトを導入しました。

糖尿病患者さんの糖尿病関係薬の自己負担を市が負担し、薬剤師へのカウンセリング・フィーも市が支払うことにしました。

プロジェクト効果は、はたして?

医療費の削減

糖尿病患者一人当たりの年間医療費が、プロジェクト開始前と比べて一年後には日本円で約17万円、5年後には約22万円も削減できました。

薬剤師によるカウンセリングの効果

服薬指導等のカウンセリングをうけることで患者さんの病気や薬に対する知識が増加し、服薬コンプライアンスが向上。

また、食事、運動療法に励んだため、糖尿病関連の検査数値が正常化し始めました。

多くの患者さんは薬剤師の呼びかけで自己血糖測定も開始したことで、多大な医療費がかかる高血糖や低血糖による救急受診や入院治療が減少しました。

また、そのことが糖尿病の合併症を早期からケアできるようになったことも医療費削減に貢献していました。

その結果、プロジェクト開始後の薬剤費は増えた!?

確かに薬剤費は増えてしまいましたが、その他の費用は大幅に減少しました。

つまり、薬剤師によるカウンセリング効果で患者さんが治療に励むため、服薬コンプライアンスは向上、その結果、薬剤費はかかる反面、他の費用が削減されるため、医療費全体としては削減に成功したと言えるのです。

この成功がきっかけで他の生活習慣病や喘息、うつ病等にまで対象疾患が拡大され、プロジェクト参加者も増えてきました。

プロジェクト成功のポイント

二つのポイントがあると言われています。1つ目は、患者さん一人一人の臨床経過やデータ、医療費を丁寧にしらべ、集計結果をアメリカ薬剤師会雑誌で発表。

このような公の場での論文発表がプロジェクトの信用を高めたと言えるでしょう。

二つ目はカウンセリグを実施する薬剤師に対して事前に教育するなどして、薬剤師の資質向上に重点をおいたということも功績と言えます。

また、地域の医師にもプロジェクトの主旨を理解してもらうなどの準備をしてきました。