
2015年頃から、特許が切れてくる医薬品が多くなってきます。
特に成長ホルモンやインターフェロンなどのバイオ医薬品がそれに相当します。
一般的に特許が切れると、ジェネリック(後発医薬品)が登場しますが、バイオ医薬品については少し事情が違うようです。
バイオシミラー 《Biosimilar》とは?
ここで「バイオシミラー」という言葉が登場してきます。バイオ医薬品のジェネリックとは少し、意味合いが変わってきます。
まず、バイオシミラーの定義は、国内において、今までに新有効成分が含まれた医薬品として承認されたバイオ医薬品と同程度の品質,有効性、そして安全性を持った医薬品のことです。
別名を「バイオ後続品」と言います。
現在、日本で製造、販売されているバイオ医薬品は色々、ありますが、バイオシミラー
開発の対象になっているのは、イオテクノロジー医薬品です。
バイオシミラーとジェネリックの違い
バイオシミラー
- バイオシミラーの先発品は、許の切れたバイオ医薬品
- 製造方法……遺伝子組み換えや、細胞培養
- 分子量……大きい
- 有効性・安全性試験……安定性試験。品質特性に関する同等性、同質性の評価試験、非臨床試験、
- 製造販売後調査……実施を求められている
- 薬価……先発品の70%。臨床試験の充実度に応じて、10%を上限として加算。
ジェネリック
- 先特許のとれた化学合成医薬品
- 製造方法……化学合成
- 分子量……小さい
- 有効性・安全性試験……生物学的同等試験
- 製造販売後調査……必要なし…先発医薬品の70%(ジェネリック薬品が10剤を超える場足は60%)
バイオシミラーは先発の物と似ていても、同一ではない
バイオシミラーの一般名の最後尾についている、例えば、「後続2」と書いてあった場合、2番目に承認されたバイオ後続品という意味です。承認された順番につけていきます。
例えば、血液疾患の治療薬であるフィルグラスチムのバイオシミラーの場合……
(販売名)フィラグラスチムBS注75µgシリンジ「NK」
言葉の説明・・・フィラグラスチム(成分)BS(バイオシミラー)注(注射)75µgシリンジ(含有量)NK(会社名)
(一般名)フィラグラスチム(遺伝子組換え)「フィラグラスチム後続2
ジェネリック医薬品の一般名(成分名)は先発医薬品と同じで番号はふらないのに、何故、バイオシミラーだけふるのでしょうか?
それは、バイオシミラーは先発医薬品とは似ているけれど、同一とはいえません。そのため、一般名、つまり成分名にも番号をふるのです。
なぜ、先発医薬品とそのバイオシミラーは違う?
先述したように、バイオ医薬品は低分子化合物と違い、構造が非常に複雑で分子量が大きいです。
つまり、似せて作るのは非常にむつかしいのです。
しかも、生物由来の材料を使っているため、全く同じものを作るのはかなり困難です。
培養工程や精製工程の違いが、目的の蛋白質の不純物等も違ってきて、その差異があるため、同一とは言えないということになるのです。
バイオシミラーは利益幅が小さい
バイオシミラーの薬価の先発医薬品の7~8割です。開発費は新薬と同じぐらいかかります。
となると、ジェネリック医薬品よりも利益幅が小さくなります。
ハイレベルな技術で製造されるバイオ医薬品は高額であるため、利益幅が少なくても、バイオシミラーが世に出るということは、患者さんの負担や医療費の削減になります。
日本の製薬会社とバイオ医薬品
バイオ医薬品を供給できる設備を持っている国内製薬会社はあまり多くありません。
日本の製薬会社は主に、生活習慣病の治療のために低分子化合物をもとにした医薬品を長年にわたって、作ってきました、そのため、海外の製薬会社よりもバイオ医薬品開発が、遅れていといわれています。
しかし、応用技術が他国以上に優れているので、バイオシミラーの開発から手掛けていき、そこからバイオ医薬品の開発やバイオベターが製造されることを期待したいと思います。
※バイオベター:先発医薬品の製造方法を改良改善して、高い有効性を持ちながら、副作用を軽減した薬剤のこと。