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薬剤の副作用早期発見も、薬局薬剤師の重要な職能の1つです。

薬局でよく遭遇する副作用の事例、患者さんから逸早く副作用を見つけるテクニックを紹介します。

様々な角度から副作用を訴えてくる患者さん

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高血圧治療薬であるノルバスクの副作用の症状に「歯肉肥厚」というのがあります。

薬剤師は「歯肉が腫れた感じがありませんか?」と尋ねると、「腫れたというよりは、歯が痛いです」と答えました。

薬剤師は腫れていることを痛みとして感じているのではと考えました。患者さんは歯のことを主治医にも言ったようでしたが、主治医はノルバスクの副作用とは思わなかったようで処方変更しませんでした。

薬剤師は患者さんの歯痛を副作用の歯肉肥厚と捉え、主治医に疑義照会しました。主治医は薬剤師の説明に納得し、処方薬を変更しました。

薬を変更してから、10日後、薬剤師は患者さんに電話をし、その後の様子を尋ねました。

歯の痛みは、消えたと。また、家庭血圧計で測定しているが、血圧もコントロールされているという報告でした。

添付文書の副作用の欄には「歯肉肥厚」と書かれてあり、「歯茎が腫れている」「歯茎が痛い」と表現されることが多くある中で、「歯が痛い」と表現する人もいるわけです。

薬剤師が患者さんに副作用を聞き出す時は、起こり得る症状を色々な角度から考えながら効く必要があります。

脱力感を体がガクガクするという訴え

患者さんの副作用の初期症状の感じ方は様々です。添付文書の副作用の欄を丸暗記したとしても、患者さんの副作用の発現を見のがしてしまうことがあります。

やはり、前述したように小難しい言葉ではなく、具体的な言葉で対応することが重要です。

コレステロール降下剤でスタチン系薬剤の重要な副作用の1つに「脱力感」があります。

この脱力感も患者さんによって色々、訴え方が違います。

薬剤師は「脱力感がありますか?」とか、「だるさが出ませんか?」などと聞いていました。

すると、患者さんは「脱力感はないけど、足がガクガクする」という答えが返ってきました。

薬剤師は「脱力感がある」と「足がガクガクする」は同じ意味と捉え、「最近、階段の上り下りが辛くないですか?」という尋ね方に変えました。

この質問であれば、「足がガクガクする」患者さんは「はい」というはずです。

スタチン系薬剤の「脱力感」は横紋筋融解症の初期症状なので、見のがさないようにしなければいけません。

このような症状が出てくれば、すぐに検査を行い、CPK(クレアチニンホスホキナーゼ)が上昇していれば、主治医はスタチン系薬剤を中止し、他の薬剤に変更するはずです。

食事の話で副作用発見

食事の話は、副作用の症状を見つけるチャンスでもあります。特に生活習慣病の患者さんに効果的です。

薬剤師が高血圧患者さんに、塩分の摂取量を尋ねる意味で「食事の方はどんな感じですか?」と話しかけ、本題に入ろうとしたところ、患者さんが「最近、ご飯があまりおいしいと思えなくて……。砂を噛んでいるようなというか……」と、訴えてきました。

薬剤師はその患者さんの服用薬を思い浮べました。

患者さんは、エースコール(塩酸デモカプリル)を飲み始めて一カ月でした。薬剤師は、亜鉛不足による味覚異常を疑いました。薬剤師は「今、飲んでいる薬は亜鉛不足をおこしやすく、それが原因で味覚異常になる」という説明をしました。

そしてこのことを主治医に話すようにと言ってから、「カキや海藻類を食べるといいですよ」とアドバイスしておきました。

次回の処方箋に亜鉛が含まれている「プロマック(一般名;ポラプレジンク)」が初歩言う線に追加されていました。

食事に対して否定的な話の場合は必ず何かある

患者さんから「おいしくない」「食べたくない」といった否定的な答えが来た場合は、さらに具体的な質問を投げかけることが重要です。

「苦い」「味がしない」は勿論、味覚異常が考えられます。ただ、NSAIDsのような鎮痛消炎剤が処方されている患者さんの場合は、胃潰瘍も考えられます。

 

また、「あまり食べたくない」といい、胸の中央あたりに違和感を訴える患者さんも注意が必要です。

「食べたくない」という訴えの中に、嚥下困難が原因で「飲み込みにくい」「飲み込めない」と訴えてくることがあります。

嚥下患者さんの場合は水を飲みこみにくいため、十分な水分を摂ることができていない場合があります。このような状況の時に、利尿剤を服用すれば、脱水症状を起こし易くなります。

 

新たな副作用を作り出さないように、早く嚥下困難をキャッチし、主治医に相談して処方薬の変更など対策を考える必要があります。

薬局での患者さんの姿、動きから副作用発見

薬局内に入ってきた患者さんの歩き方を観察します。歩幅が狭く、小刻みな歩き方であれば、錐体外路障害の可能性があるかもしれません。

また、待合室の椅子から立ち上がる時、ふらつくようでれば、横紋筋融解症とか、偽アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパシーの病気が想定されます。

服薬指導で者さんに接近できる時は。肌の状態をチェックできます。

パナルジン(一般名;塩酸チクロピジン)などの抗血小板剤を服用する患者さんの場合、出血傾向を念頭に置き、観察しながら服薬指導を行います。青あざ程度であれば、問題ないのですが、内出血部位が広範囲であれば、疑義照会して主治医の判断を待ちます。

発疹、黄疸なども目で確認できます。

 

患者さんの口元も意外と副作用が発現しやすい場所です。

患者さんの口が常にパクパクとか、モグモグなど不自然な動きをしているようなら、ジスキネジア(パーキンソン氏病治療

の副作用でおきる不随意運動)を考えます。

唇が渇いているようなら、口渇を起こす薬剤が入っていないかを確認します。白目が黄色

になっていれば、薬剤性の肝障害も考えられます。

他覚的なチェックはよく観察していなければわかりにくいので、日頃から患者さんを見ることが重要です。

その他にも浮腫みを調べたいと思えば、「靴が履きにくくなっていませんか?」「足に靴下の跡がつきませんか?」でわかります。

白血球の減少を疑うのであれば、「熱、だるい、風邪のような症状はありませんか?」とか「口内炎ができていませんか?」などといった具体的な質問が一番、副作用を発見しやすいですね。自分なりの云い方を研究して、服薬指導に役立てましょう。