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薬業界の大手情報誌が、薬局薬剤師に対して大規模なアンケート調査とリポートを行いました。

アンケートの内容は「医薬品情報の活用法に関する調査」です。

調査結果を詳しく分析し、一歩進んだ医薬品情報の活用法を実践している薬局薬剤師たちを紹介します。

アンケート調査用紙の自由蘭に「薬局に届けられる情報はあまりにも多く、何が重要で重要でないかを選択するのが難しい」とか、「仕事が忙しくて、集まってくる情報を整理しても、それらを活用する時間がない」などが書いてあります。

しかし、ただ、悩むだけではなく、同時にどのように多くの情報を整理し、活用していけばいいかもしっかり考えています。

薬剤師の満足度

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医薬品情報は主に、添付文書、インターネット、市販の医薬品集、製薬会社のMRが持ってくる資料があります。

これらに対してアンケート調査結果は「情報量、情報内容共に満足している」が「満足していない」をかなり上回りました。

ただ、詳細を見れば、年齢別でみると、少し違ってきます。

60歳以上は78%、50歳代で61.4%,40歳代55%と下がっていき、20~30歳代では43%と平均を下回りました。

また、一カ月の処方箋が300枚以下の薬局では「不満である」という回答が27%でしたが、2000枚以上の薬局になると、53%と不満度が上昇していました。

つまり、回答者の年齢が低いほど、また、勤務する薬局の規模が大きいほど、不満度が増すという結果になったのは大変興味深いですね。

副作用、相互作用の情報が不満

上記のような不満を抱えている薬剤師は副作用、相互作用の具体的な症例をもっと知りたいと思っているようです。

次に、医薬品ごとの服薬指導の実例、乳幼児、高齢者への投薬に対する情報などが上がっています。

たしかに、これらの情報は入手しにくく、製薬会社でなければ、提供ができないものが少なくありません。

現状で提供されている情報と薬剤師が求めている情報とのギャップをどのようにして無くしていくかが、製薬会社や行政の今後の課題と言えるかもしれません。

大規模薬局のほうが小規模薬局よりもMRの来訪回数が多いことに不満

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医薬品情報のうちでかなり重要な入手経路は製薬会社のMRが持参する情報です。

アンケート調査結果を詳しく分析すると、大規模薬局(処方箋枚数月2000枚以上)は、MRが持参する情報に満足しているが80%が満足しています。

しかし、小規模薬局(300枚以下)は42%で、明らかに違いが出ました。

小規模薬局の不満の声

「残業があるなどして、研修会、勉強会に参加できないことが多く、MRの情報が頼りと思っているが、MRにはほとんど来てもらえないのが現状」

「大規模薬局に勤務していた頃は、毎週のようにMRが勉強会を開催してくれたが、転職した薬剤師二人の小規模薬局にMRはほとんど来訪してくれないので、欲しい情報が入手しづらい」

医薬品を供給する側は情報提供が具無づけられているが…

このアンケート調査に参加してくれた薬局の中に、製薬会社、医薬品卸のどちらからも、医薬品改訂情報を受けていなくて、薬剤師会からの情報のみを頼りにしているという薬局が数件ありました。

医薬品供給側は薬事法によって、病院や薬局に対して情報提供が義務づけられています。

その情報提供の薬局の中からはずされていた原因は不明ですが、このような薬局が一件でもあるのは問題です。

医薬品情報活用において小規模薬局は大規模薬局ほどできていないのが難点

入手した医薬品情報を整理し、使いやすいように工夫を凝らしている薬局の割合は、大規模薬局66%、小規模薬局34%でした。

この結果が意味することは、小規模薬局は人手不足で調剤業務に忙殺されることが多いため、医薬品情報の整理等にまで手が回りにくいということが言えそうです。

若い薬剤師ほど疑義照会を積極的にしている

疑義照会の件数は処方箋枚数が多い薬局ほど多いのは当然です。

そこで注目すべきは疑義照会をする薬剤師の年齢層。

アンケート調査の結果、薬局の規模に関わらず、若い薬剤師ほど疑義照会を積極的に行っていることがわかりました。

60代以上36%、50歳代39%と4割未満、40代65%, 20~30代75%と、年齢が下がるごとに、疑義照会は増えています。

薬のプロとしての腕の見せ所

コツコツと収集した医薬情報を活用して、薬物治療の安全性、有効性を常に保つことは薬剤師の職能のなかでも一番、重要なことです。

そのような部分に若い薬剤師が真剣に取り組んでいるという事実は、医薬分業の中でも、薬剤師自身が大きく変わっていこうとする現れであると思われます。

溢れる情報の中から捨てる技術も磨こう

薬局内にたくさんの情報誌や文書が山積みになってしまって、整理がつかない状態になっていませんか?

そして、整理は勿論、重要なのですが、その山積みの中から必要なものをすぐに取り出すことが困難になっていませんか?

必要なものだけを分類保存

新しさが命でニュースや時事的な情報を短期保存、病気や特集記事で時間が経過しても役立つ情報と判断したものを長期保存とします。

長期保存はさらに、薬剤情報(副作用、相互作用。新薬情報など)、調剤情報(配合変化や飲み易さ、調剤機器など)、医学情報(疾患や薬理学、生理学など)、保険情報(調剤報酬改定、保険制度変更など)、その他の情報(上記の4つに当てはまらないもの、経営、薬業界の動向など)に分けて、ファイルします。

短期保存の場合は、中が見えるナイロン系の袋がお勧めです。MR、MSが新薬紹介等によく持参する薬のパンフとボールペンなどの粗品が入ったナイロン袋が実用的です。

これなら、廃棄も惜しみなくできます。また、短期保存にするべきか、長期保存にするべきかと悩んだ場合は、とりあえずは短期保存の袋に入れておきます。

最初に見た時は必要と思われ、見直したときはそうでなかったということもよくあります。

メンテナンスの方法

短期保存は数週間に一度、見直しをします。使用したもの、メンテナンスの時に、長期保存したいと思ったものは長期保存のファイルに入れ替えます。

一度も使われなかったものは廃棄します。

長期保存は、数か月に一度、見直しをします。同一の情報、例えば、疾患が同じで記事発行の時期が違うものは新しいものを残します。

また、長期保存に入れておいても一度も見ることが無かった場合は、不要な場合が多いので、不要と判断したら、廃棄します。

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情報整理は継続してやり、その上、有効に活用できるようにしてこそ、意味があるものです。

また、何が重要で重要でないかは、薬局によって其々違います。

ジャンル分け、メンテナンスの期間などもここに書いたのはほんの一例で、自分の薬局の特性を考慮してやっていきましょう。

薬局別情報活用 具体例

世間から見て、薬剤師は今でも薬を合わせる人、薬を売る人の範囲にとどまっているのでしょうか?

だとしたら、とても残念なことです。調剤だけではなく、社会に向けて医薬品情報を発信する担い手であることも知ってもらいたいものです。

そのために、薬剤師はどんな努力をしているでしょうか?薬局別に紹介していきます。

地域のヘルスステーションを目指す薬局

O市郊外の閑静な住宅地の一角にあるY薬局。近くの病院の処方箋を応需しています。

OTC医薬品、サプリメント、介護用品なども揃え、地域のヘルスステーション的な役割ができればとY薬局の社長は、考えています、

自ら研究、調査して情報を招集する

服薬指導に必要と思われる情報を受け身で収集するのではなく、自分の目で確かめた情報を意思や患者さんにフィードバックし、Y薬局の存在をアピールしていきます。

 

例えば……

眠気が副作用となる抗ヒスタミン剤について、Y薬局を利用する700人近い患者さんを、独自に聞き取り調査を施行しました。

よく処方されるアゼプチン、ザジテン、セレスタミン、アレジオン等を服用する患者さんに、眠気が出るかどうかを調査しました。眠気があると答えた患者さんは19%、少し眠気があると答えた患者さんは約14%でした。

又、眠気の出現率は薬によって違いがありました。併用のケースは、単発のケース以上に眠気が強いと言う結果が出ました。

 

得られた結果は、添付文書等に記載されている数値を上回っていた

これは、添付文書の質問の仕方と自分達の質問の仕方に違いがあるとY薬局の社長は言います。

従って、添付文書の数値ばかりを気にするのは問題があります。

せっかく服薬指導が義務づけられているので、これを利用して個々の患者さんから得られた生の情報を医師達にフイードバックします。このような行動が、医師達の信頼につながるわけです。。

その他にも、小児用シロップ剤の適切な保存方法、配合変化などを確認するために、シロップ剤を希釈した液の条件を変えて保存してみたり、黄色ブドウ球菌などの細菌を入れ、菌の繁殖状態を比べる実験などしています。

これらの研究結果は、薬剤師会や薬学会に発表するなどして、薬剤師としてのスキルを磨き、信頼を高めています。

さらに、処方監査、疑義照会などにおいても、独自で作ったデータを活かしながら、業務を行っています。

質の高い薬局であれば、医師も頼ってくる

質が高いと外部から見られることも大事です。

特に医師には、薬のことならこの薬局と思ってもらうことが大事です。

信頼が得られれば、医師は自分の患者を任せる薬局とし、さらに患者さんをその薬局に送り込むという結果になります。

薬局側から常にメーカーに対して問題提議をする

MRを有効に利用することでスムーズに情報を収集しているのは都心にあるM薬局です。

患者さんの体に現れてしまった副作用を、メーカーのMRと一緒になって解明していくのです。

MRがすぐ来てくれる薬局 来てくれない薬局

患者さんに何か問題が起きた時、メーカーに相談すると、すぐに電話やFAXが届き、翌日、」数日後にはMRが来局してきます。

しかし、MRがすぐに来てくれるのは都心だからであって、地方や小規模薬局にMRがそんなに素早く対応してくれるとは思えないと考える人もいます。

しかし、そうではないとM薬局の管理薬剤師は言います。都心にあるM薬局でさえも、新薬の説明の時を除いて、何もなければ、来局しません。

MRが足を運びやすい薬局を目指して情報を入手

薬局側からメーカーに向けて、積極的に問題を提議していくことが重要となります。

医薬品の適正使用を推している現在、どのメーカーも副作用の発生に大変、敏感になっています。

 

M薬局の例では……

患者さんがα―グルコシダーゼ阻害剤を服用すると、悪心、嘔吐があると、訴えました。

メーカーに電話すると、副作用で肝機能障害が出たのかもしれないとのことで、翌日、メーカーのMRがやってきました。

MRはM薬局で事情をさらに詳しく尋ねた後、その足で患者さんの主治医のところに出向きました。

その日のうちに服薬が中止となりました。

 

MRが主治医と話すことで薬局の信頼はアップ

MRが副作用情報の資料を持って、患者さんの主治医とMRが話します。薬局からの申し出で、医師の元にMRがきたということで、薬剤師の信頼はさらにアップします。

薬剤師の説明にMRが医師の前に来て話すということが加わることで、薬剤師の質の高さが医師に伝わります。

薬剤師と医師の潤滑な連携にMRが一役買っていることにもなります。

手作り医薬品集で充実した服薬指導を行う薬局

駅前の商店街にあるK薬局。この薬局の管理薬剤師H氏は、いつも白衣のポケットに入るぐらいの小さな手帳を二冊、持ち歩いています。

調剤室にいる時も、服薬指導の時も、当番で救急施設に詰める時も……、

一冊目の「服薬指導解説」手帳とは?

この手帳には、薬剤師会会員が数年前に作成した服薬指導の解説書が元になっています。

H氏はその解説書の全てのページを縮小コピーして、B6判サイズのルーズリーフのフォルダーにまとめました。

インデックスシールで見出しをつけ、見やすくしました。

内容は、薬効別になっていて、患者説明用の定例文が沢山、載っています。状況に応じて、薬剤師が患者さんに伝えた方が良いと思う文を選ぶことができるようになっています。

二冊目の「繁用保険薬の副作用等」手帳とは?

この手帳はH氏の全くの手作りとのこと。K薬局の備蓄医薬品の中で特に処方される頻度が高い500品目をアイウエオ順に並べ、B6判サイズの小さなルーズリーフに収めています。

K薬局が、小児科や精神科の処方箋を受け付けることが多いということもあって、起こしやすい副作用として「眠気」「湿疹」「便秘」「口渇」があります。

其々、該当する場所は丸印を付け、一目でわかりやすいようにしています。

 「繁用保険薬の副作用等」手帳の使用具体例

例えば、パナルジンを処方された40代の女性患者さんで、服薬指導を行う場合、この手帳を開くと、血栓治療等の効能効果を筆頭に再生不良性貧血を含む汎血球減少症などの重大な副作用から湿疹や下痢の出やすい副作用が書いてあり、生理中の使用の場合の注意も記されています。

このような事柄を一々、添付文書を開かなくても、小さな一冊をポケットから出してすぐに確認できるので、業務を合理的に行うことができます。

そして、患者さんのあらゆる質問にも答えられるといったことがスムーズにできます。

中のページは常にバージョンアップ

二冊とも1ページずつビニールホルダーに閉まってあるので、用紙は傷まないし、すぐに差し替えもできるので、追加情報を入れたり、全く新しいページにやりかえたりすることも可能です。

CD-ROM服薬指導集を買い、それを参考に新たな情報を書き込んでいます。

添付文書は勿論、勉強会で気付いたことなどどんどん、書き加えていき、独自の専門書を作っています。