
日本は海の幸に恵まれ、古くからコンブ、ワカメなどの海藻類を常食しています。
コンブは海の野菜と言われるほど、ビタミン。ミネラッルが非常に豊富に含まれています。野菜が不足する冬になると、栄養素の供給源として重宝されていました。
また、コンブはえびすめ(夷布)とか、ひろめ(広布)とも昔から言われていて、「喜ぶ」「広める」と言う意味合いを込め、正月、結婚式などの祝い事に欠かせない縁起物になっています。
コンブのヌルヌル成分;フコイダンの素晴らしき性質
コンブなどの褐藻類にみられる「ヌルヌル」は、フコイダンという多糖類の仕業です。
フコイダンにはいくつかの種類がありますが、そのうちの一つに「アポトーシス」を誘導する作用を持っていることがわかりました。
アポトーシスとは細胞自身が持つプログラムによって計画的に脱落死していく現象です。例えば、フコイダンによってガン細胞の自殺を促し、その一方で正常細胞にはそのフコイダンの影響を受けることはなかったというデータがあります。
さらに別の種類のフコイダンは、肝細胞増殖因子(HGF)の産生を誘導する作用を持っているといわれています。
HGFとは、あらゆる組織の器管を作り、再生に重要な因子を持っています。従って肝硬変、肝不全などの慢性疾患を治癒する薬として期待されています。
興味深い実験があります。肝臓の一部を切り取ったラットの腹腔内にフコダインを投与してみたところ、血中のHGF濃度の上昇が認められました。
フコイダンはアレルギーも抑える
花粉症などのアレルギーを引き起こすIgEの産生を抑えることがわかってきました。
海藻類を平均以上に摂取する海近くに居住する住民達のアレルギー疾患発症率が著しく低いことは、多くの疫学的調査などからわかっています。
何故、このような現象になるかと言えば、ω3系脂肪酸を含む魚などの摂取だけでなく、海藻類の摂取類も他よりも多く摂取しているからではないかと言われています。
その他にフコイダンには、皮膚に潤いやハリを与え、美肌を保つ作用もあります。フコイダンは藻類の表面近くに存在しており、水分保持の作用もあるのでこの働きもあるということは頷けます。
コンブのヌメリの中には、アミノ酸の一種であるアルギン酸も含まれています。
アルギン酸には、血中コレステロールを減少させ、血圧を正常化、整腸作用、利尿効果もあります。
出汁とりだけでなく、コンブ本体も食べよう!
コンブにはたくさんのミネラルが含まれています。カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ヨードなどなど。
消化吸収率が高く、なおかつ低カロリー、食物繊維が多く、生活習慣病予防の食材としても非常に有益です。
カリウムは高血圧の原因になるナトリウムを排除し、マグネシウムは血圧を適正にコントロールする作用があります。
又、ヨードは、甲状腺ホルモンの構成成分。甲状腺機能を活発にさせます。そして、体内の代謝を活発にするため、成長期の子供たちにとっても重要な成分でもあります。
沖縄の郷土料理;クープイリチー
この料理は千切りしたコンブを豚肉やこんにゃくと一緒に煮込んだもの。沖縄県の一人当たりのコンブ消費量は、全国平均の1.5~2倍。
長寿の要因の一つと言われています。実際に、沖縄県はガンの死亡率が全国でもっとも低いことで有名です。
ところが、コンブ消費量トップの富山県は、がん死亡率が高いのです。
これはなぜでしょうか?
両社の違いはコンブの摂り方に違いがあります。コンブを出汁だけに使うのではなく、コンブそのものを食べてこそ、上記の効果を期待することができるのです。
日本人の海藻類の摂取量は一日平均5.5g。年齢が低くなるほど、摂取量は少ないようです。
出汁をとったコンブを捨てるのは実に勿体ないことと言えます。