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ウメ。食用だけでなくサプリメントとしても売られています。また、薬局でも、お腹の調子が悪いという患者さんに、ウメエキスを出します。

ウメが食卓に毎日、出る家も多いことでしょう。恐らく一生、食べ続けられるものでしょう。

このウメがどう素晴らしいのか、解剖してみたいと思います。

ウメの原産地は中国の長江流域

日本にウメがやってきたのは、約1500年前。中国ではそれよりも前から、青ウメをくん製し、乾燥させて「鳥梅(ウバイ)」というものを作っていました。

鳥梅を中国の人たちは食欲不振、下痢、嘔吐などの時に活用していました。

一方、日本では塩漬けにするというウメの利用法が活用され、梅干しがたくさん作られるようになりました。

安土桃山時代には、すでに梅干しが保存食として知られており、戦場にも持参したという記録が残っています。

江戸時代になると、武士ばかりでなく、庶民の食生活にも欠かせないものとなりました。

日清、日露戦争の頃になると、兵士の食糧保存のため、たくさん作らなければいけなくなり、漬物屋で大量に作ることになりました。

これが、現在、漬物屋で梅干しが大量に作られるきっかけになったと言われています。

ウメにはシアン化水素という毒がある

人間の体にとって良いこと尽くしのウメですが、最初は「毒」が出発点なのです。信じられないですよね。

ウメは6月頃、熟してきてほんのり、赤く頬を染めたりしますが、たとえ、熟していても。

他の果実のようにすぐには食べられません。先程の毒がウメの中に入っているからです。

種の殻の中にある柔らかい部分やまだ熟していないウメの実の果肉の中には、アミグダリンという青酸配糖体があります。

これが酵素で分解されると、毒性の強いシアン化水素ができてきます。そこでシアン化水素ができてこないようにする方法がウメの実を塩につける、あるいは砂糖につける、加熱する、アルコールにつける、ということなのです。

ウメの強烈な酸味成分はたくさんの有機酸(クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、ピクリン酸など)が含まれています。

中でも有名なのはクエン酸。疲労回復効果があることでご存知の方も多いと思います。

クエン酸が疲労回復に良い理由

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ここは興味のない方は読み飛ばしてください。

理科が大好き、何でも興味を持っちゃう方は読んでくださいね。

ブドウ糖は、まず解糖系でピルビン酸に代謝されます。次にピルビン酸が水と二酸化炭素にまで分解され、エネルギーを産み出します。

この過程(クエン酸回路)が鈍ると、ピルビン酸を効率よくエネルギーに変わることができず、疲労物質の乳酸が体の中に溜まってしまい、それが疲労感を産み出してしまうのです。

クエン酸を積極的に摂ると、前述したクエン酸回路を活性化します。

そうなれば、乳酸がピルビン酸に再転換されるため、「疲労の予防、回復の効果」が得られる仕組みになっているのです。

梅干しが腐りにくいのも、クエン酸をはじめとする前述した有機酸が関係しています。

また、酸っぱければ酸っぱいほど、しょっぱければしょっぱいほど、抗菌作用が強力になっていきます。

もっと細かく言うと、梅干しを腐らないようにする効果は、塩分の濃度が重要で、有機酸は塩分の抗菌力を高めていく作用を持っています。

胃や腸を元気にする梅干しパワー

梅干しに多種の有機酸が含まれています。

この有機酸たちは、胃や腸の働きを活発にして食欲を増進させる作用、胃酸の分泌を高めて消化力のアップ、腸の動きを活発にして便秘を解消に導く力を持っています。

梅干しを食べると、酸っぱさのため、唾液がいつもの2~3倍に増えますが、増えた唾液が消化を助けてくれます。

さらに梅干しに入っている有機酸の1つであるピクリン酸は、肝機能を高めてくれる働きがあるため、梅干しは二日酔いの症状を軽減してくれます。

梅肉エキスで血液サラサラ

最近、有機酸以外にウメの成分で注目されている物質があります。

それは、ムメフラールという物質です。

ムメフラールには、血小板凝集作用が確認されています。要するに血液サ~ラサラというわけです。

クエン酸も血液サ~ラサラ効果があるので、ムメフラールとの相乗効果が期待できます、

ムメフラールは加熱した後のウメの果肉の中にしか存在していない

残念ながら、生のウメや梅干しには含まれていません。

ムメフラールは、加熱することで糖の一部とクエン酸が結合してできた化合物なのです。

ムメフラールを手軽に摂るためには?

完熟した直後のウメをすりつぶし、加熱濃縮させて作られた梅肉エキスがあります。ドラッグストアや薬局でも見かけることができます。

また、家庭でも作ることができます。

梅肉エキスはスプーン一杯を目安にします。そのままか、お湯に溶かして飲むのが一般的です。また、料理のアクセントとしても効果的です。

ウメを赤くさせる赤シソ

最後にウメを赤く染めてくれる赤シソをご紹介します。

この赤シソもウメと共に食べられます。広げておにぎりに巻いてもよし、しっかり乾燥させたあと、細かく刻んでフリカケにしても美味です。

シソ特有の辛味や香りの成分は、ベリルアルデヒトという物質です。

シソについて特筆すべきことは、赤シソをそのまま使っていたのでは、防腐効果も食中毒の菌である黄色ブドウ球菌などの増殖を抑える効果はありません。

赤シソの総量に対して、5%~10%の食塩を加えることによって、防腐効果は得られると言われています。

赤シソの栄養

カルシウム、ビタミンB類、カロテン。食物繊維、カリウムなど、沢山の栄養素を非常に多く含んでいます。

赤シソに含まれているβ―カロテンの含有量は、野菜の中でも断トツです。赤シソの香りの成分であるベリルアルデヒドは、臭覚神経を刺激して胃液の分泌を亢進させ、食欲を高めてくれます。

その他、食中毒の予防、胃腸の働きを良くする健胃作用があります。

また、シソ油を種子からとることができます。抗酸化作用をもつα―リノレン酸を多く含んでいます。この頃は、サプリメントとしても市場に出回っています。