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精神科における薬剤師の仕事はどんなことが重要になってくるのでしょうか?

薬剤師の仕事は、どの科であろうと基本的には調剤業務や服薬指導等で変わりはありませんが、精神科での仕事は少し違うのです。基本の仕事に+αが必要です。

その+αとは何でしょうか?精神科専門薬剤師の仕事を追いながら、考えてみたいと思います。

統合失調症患者さんへの対応方法

統合失調症の患者さんは病識がない人が多く、アドヒアランス(自分の病気を認識し、積極的に治療をしようという能動的な態度)不良になりがちです。

アドヒアランス不良の原因は患者さん自身、治療を施す側、環境、家族等があります。

統合失調症患者さんが病識を持つための援助の重要性

近年の研究では、統合失調症の治療において、特に発病まもない時期に薬物治療を行いながら、心理、社会的介入を試みるといった総合的な治療を行うことが有効で重要と考えられています。

また、再発防止にも良好なアドヒアランスは非常に大きな要素でもあります。

統合失調症患者さんへの服薬指導のポイント

  • 病識を持ってもらう
  • 自分が飲む薬を見せ、一包化はできるだけ避け、服用時期、服用量を教えて飲ませる。
  • 薬剤、服用量が変更になる時は、患者さんに変更する理由をきちんと説明し、変更することに不安などがあるかどうかを確認する。
  • 薬剤の副作用についてもきちんと説明する。
  • きちんと服薬できる工夫をする。

一般薬剤師ではなくて精神科専門薬剤師が必要な理由

・薬物治療が適正に行われているかどうかを評価するには高度な専門性を必要とする

・精神科領域の治療もチーム医療の形態をとるべきである

・精神科領域の治療は薬物治療が中心。しかし、患者さんに病識が無い場合、アドヒアランス不良になりやすく、それをサポートする職種が他にないため、精神科専門薬剤師が介入していく。

専門薬剤師が関わって成功した例、失敗した例

成功例

双極性障害の20代女性患者さんがこれから服用する抗精神病薬の副作用に「体重増加」ありました。

この患者さんはこの薬を飲みたくないと。そこで薬剤師は患者さんにこのことを自分の口から主治医に話してみることを勧めました。

患者さんは自分からそのようなことをちんと言える自信はなかったようですが、「太りたくない」という思いで、自分で主治医に話しました。

薬変更にOKが出ました。主治医も自分から話してきた患者さんに驚き、順調に治療が上手くいっていることを実感したようでした。

薬剤師が薬変更を申し出れば、もっと簡単に処理できたのですが、薬剤師はリハビリの一環として患者さんにやらせました。患者さんに寄り添ってきた専門薬剤師ならではのエピソードです。

失敗例

5年前、非定型抗精神病薬であるリスパダールを飲んで統合失調症が改善され、3か月で退院された20代の男性患者さん。

患者さんの母親は息子を治したい一心で薬の勉強を始め、通院中、薬剤師を通じて医師に薬の変更を求めました。

了解が得られ、変更した薬を飲み始めましたが、病が再発し、医療保護入院に。再入院中も母親の患者さんへの関与が過剰過ぎ、医師が治療妨害になるからと暫くの間、母親の面会中止を指示しました。

そのかわり専門薬剤師が母親にその間、メール等で薬の使用歴等を伝えるということになりました。

しかし、患者さんは好転せず、母親は「薬剤師に頼ったのが間違いだった」と以後、その薬剤師と関わる事を断ってしまったというケースがありました。

失敗例から薬剤師が学んだこと

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患者の要望にどこまで応えるべきか、全ての情報を患者や家族に伝えることの意義を考えさせられる一例です。

精神科医がアドバイスする精神科領域に薬剤師が関与していく場合の基本的な考え方

以前は、精神科治療と言えば、医師が密室的な環境で患者さんに対して治療を施すというパターンが非常に多くありました。

しかし、現在において求められている、あるいは治療効果をあげているのはチーム医療として患者さんをサポートしていくことです。

医師、看護師、薬剤師、福祉関係者、カウンセラー、家族等でチームを作って患者さんをも守っていくというものです。

その中で薬の専門家として薬剤師が患者さんと関わっていくのは大変意味があること。

しかし、前述した失敗例の場合、薬剤師一人での解決は困難です。そこにカウンセラーと情報を共有し合っていくことが、薬剤師の負担を減らす、また、薬剤師が薬に集中するということになります。

従って、チームとしての役割り分担は重要ですが、情報、治療方針は共有し合うことで、それぞれの専門性を活かすことができ、それが、患者さんの病気改善につながるのです。