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近年、糖尿病治療の新薬が続々と世に出てきました。

それも、糖尿病治療薬の最も重大な副作用である低血糖のリスクが抑えられた新薬の登場です。

このことは、糖尿病患者さんだけでなく、治療を行う医師たちにとっても質の高い治療を施行できるという大きなメリットです。

低血糖という薬の副作用が糖尿病の治療を困難にしてきました

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2013年5月に行われた糖尿病学会は、合併症予防のための目標を血糖の過去の状態を示すHbA1cを7.0%未満にとしました。

それまではHbA1cを6.0%未満と厳格に下げていました。そのため、重い低血糖の発生率が16.2%となり、低血糖による死亡率も22%と高率でした。

また、あらゆる研究で重い低血糖は心血管の障害拡大、認知症罹患率や死亡率を高めてしまうことが判明しています。

このようなデータを基に、低血糖を起こさずに糖尿病を治療していくのにHbA1cを7.0%未満という数値が、一番理想的ということになりました。

勿論、各個人の治療目標は、状況に応じて設定することも重要です。もし、7.0%から6.0%未満を目指す必要があれば、医師は新登場した低血糖が起きにくい薬を優先的に使うようになると思われます。

質の高い糖尿病治療ができる薬剤

DPP-4阻害薬

2009年にこの分類のジャヌビア、グラクティブが登場し、あらゆるDPP4阻害薬が発売されてきました。

高血糖の時に出てくる血糖値を下げる消化管ホルモンであるインクレチンを分解する酵素DPP-4(Di Peptidyl Peptidase-Ⅳ)を阻害することでインクレミンの量を増やしていきます。

インクレミンはインスリンのン分泌を盛んにします。

メリット

①血糖の量によってインスリンの分泌が調節されるので低血糖をあまり気にせず、使用できます。また、長期間の服薬にも目立った副作用が今のところ、ありません。

②糖尿病を長年、患う患者はすでに経口糖尿病治療薬を飲んでいます。このような患者さんの血糖コントロールが不良となった時、低血糖が起き難く、副作用が少ないDPP-4阻害薬は使い易い薬剤となります。

デメリット

HbA1cを下げる力が強力ではないので、この薬剤のみでの糖尿病治療は困難と言えます。

例えば、HbA1c9.0%台の患者さんに使用しても7.0%未満に下げるのは難しいという報告があります。

SGLT2阻害薬

DPP-4阻害薬に続く画期的な糖尿病治療薬の登場です。

2014年はSGLT2阻害薬の商品スーグラを始めとして色んなSGLT2阻害薬が販売されています。

SGLT2は(sodium glucose transporter)の略です。腎臓でのグルコースの再吸収を行う役目を持っているのが、ナトリウムグルコース共輸送(SGLT)という蛋白質でⅠ型とⅡ型があります。

グルコースの約90%はSGLT2で再吸収されます。このSGLT2を阻害すると、グルコースは再吸収されずに尿中に排出されます。

メリット

DPP4阻害薬と同じように低血糖を発症するリスクが少ないとされています。

そしてこの薬の最も特徴的な作用が体重を減少させる効果です。この薬のみでの臨床試験では試験例全てに体重減少が現れています。

デメリット

副作用として一番、懸念されているのが、尿路、生殖器の感染症です。

糖分を多く含んだ尿が出るため、細菌が繁殖しやすくなるという避けられない現象があります。

しかし、これについての症例があまり無いようなのですが、無症状のものを含めばもっと多いと予測され、これからも観察が必要と指摘されています。

また、実際に使用されてきて、深刻な副作用として脱水症状が報告されています。

脱水に引き続き、脳梗塞を含む血栓、塞栓症等を発現した例が報告されており、厚生労働省が注意を呼び掛けています。

痩せ型、高齢者に要注意

SGLT2治療薬を使用するのに最も適した糖尿病患者さんは肥満があって、インスリンの分泌が比較的保たれている患者さんとなります。

痩せた患者さんは蛋白質を代謝させて血糖を維持させようとするので、筋力低下、筋肉が痩せていくといった現象が起きてきます。

高齢者では脱水症状が大きなリスクとなるし、尿路感染症にも注意が必要です。

また、インスリンの分泌量が低下した患者さんは単独で使用すると、ケトン体が増加してケトーシスになり易いため、SU薬やインスリン製剤の併用が必要となる場合があります。

腎機能が低下している場合は、効果が減弱する傾向があります。前述の話から考えると、それは糸球体でろ過される糖分が少なくなり、その分、排出される尿の中の糖分も少ないためと考えられます。