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今、働く薬剤師のために多くの大学が門戸を開放して、研修を行い、薬剤師の能力開発をサポートしています。

研修内容は、調剤業務に関することから学会発表の仕方など、幅広く行われています。

K大学薬学部が開催する『薬剤師サロン』を利用するきっかけ

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一週間に一回開催。仕事を終えた色んな職場の薬剤師がK大学の薬学部の講義室に集まってきます。

ここで英語論文の抄読会が行われます。集まった薬剤師は30人。そのうちの7人がK市内で薬局を開設、または勤務していました。

抄読会はではローテンションで一人ずつ担当になり、医学・薬学の論文誌から薬剤師が読んでおくべき論文を選びます。

概要をまとめてポイントを説明した後、参加者全員でディスカッションを行います。

この日の担当は薬剤師サロンの開設発起人であるK大学薬学分臨床薬理学教授のJ氏。熱心な語り口で参加者たちを臨床薬学の世界へ引き込んでいきます。

参加者の一人にK市内で6つの薬局を経営し、薬剤師でもあるD氏。F大学薬学部を卒業後、製薬会社に15年間勤務し、転勤先のK市で医薬情報担当者(MR)として仕事をしていました。その時に付き合いがあった医師の開業をきっかけに開局しました。

数年後、透析予定の腎機能障害患者の処方箋を応需したことがきっかけで、腎機能障害患者さんへの服薬指導について勉強を始めました。

ちょうど、その頃、近隣の透析クリニックから院外処方箋について相談がありました。

そういう偶然が重なり、経営する薬局の内の4軒が透析患者さん約600名の処方箋を応需するという広がりになってきました。

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こうして透析に強い薬局という評判を得るようになりました。当時も日常の調剤業務の中にも臨床研究の題材はありました。

また、製薬会社在職中にドクターの 論文作成を手伝った経験から、研究の仕方も何となくわかっていました。しかし、指導者がいませんでした。

当時のK大學薬学部は一介の薬局薬剤師が、相談で きるような雰囲気ではありませんでした。

D氏は悩んでいた頃、K大學薬学部に臨床薬理学教室が新設され、後の薬剤師サロンの発起人となるJ氏が教授として就任しました。

J氏は、大阪にある透析医療の専門病院の研究室次長を務めた後、アメリカのオレゴン州立大学で客員教授として研究に従事していました。そして「腎機能障害患者の薬の使い方」という本も出していました。

そのJ氏の本を読んでいたD氏は、J氏が地元のK大学薬学部の教授として赴任してきた時から期待していました。

J氏はずっと研究畑を歩いてきたのではなく、病院薬剤師としての働いてきた経験があります。D氏はJ氏を薬剤師として相談しやすい教授と考えました。D氏はそんなJ氏が学外の薬剤師に向けて「薬剤師サロン」を作り、それを大學で開催した時、すぐに入会を申し込みました。

教授のJ氏は言います。

「私は薬剤師として30年間、働いてきた経験から、地域の薬剤師の質を上げる手伝いをしたいという思いを持っていました。地域の薬剤師も現場で疑問に思ったことを研究して発表し論文に仕立てることができるようになってほしいと思いました」

薬剤師サロンの構想

薬剤師サロンは、J氏と準教授のF氏の会話で生れました。自分達の専門である腎機能低下の患者さんに処方する薬剤の勉強というのであれば。現場の薬剤師の相談にのることができます。

臨床研究の方法、学会発表、論文作成などの指導もできます。

いつでも相談にのりますというこちらの気持ちを形に出すにはどうしたらいいかと二人で考えました。そして、大学の中に地域の薬局薬剤師や病院薬剤師が気軽に来ることが出来るサロンのような集まりを作ろうということになりました。

楽しい雰囲気も出したかったので、広めのテーブルを置き、周りのテーブルにはコーヒーやお菓子を置き、リラックスした空気の中で勉強ができたらいい……そんな話にまでなっていきました。

前出のD氏もこの出来たばかりの薬剤師サロンに通いはじめました。そしてJ氏の指導で地方の薬学会で学会発表もやりました。

薬剤師サロンは地域薬剤師の交流の場

論文の書き方、学会発表の指導のようなものだけではなく、薬剤師の意見交換の場に早変わりすることもあります。

例えば……

「今日こられた患者さんの処方のことなんですが……」とある薬剤師が集まった皆に声をかけながら、広いテーブルの上に薬剤の添付文書のコピーを広げます。

「あー、この薬は乳糖と混合不可になっていますが、それについてですか?」

と、早くも質問をしてきた薬剤師の言いたいことを病院薬剤師が探り当てようとします。。

「そうなんですよ」

「混ぜるとどういけないんですか?変色する?成分が変わる?」

と、さらに別の薬局薬剤師が質問していきます。

 

こんな感じでフランクに話が始まっていきます。

D氏が言います。

「ここでは、参加者全員が自由に話すことができるような雰囲気があります。学術的な指導ばかりではないです。

それには、教授J氏の人間性がここでは大きく貢献しています。皆、J先生の人柄に惚れて集まってきているようなものです。サロンではプライベートなことまで喋ってしまいそうな空気感があるんですよね」

夜間大学院に通う

職場でももちろん、学ぶことが出来ますが、職場以外に学びの場を持つことでさらに成長していこうとする薬剤師もいます。

昼間は薬局の管理薬剤師として働き、夜は大学院で勉強したB氏。B氏は薬科大学卒業後、製薬会社のMRとして2年間働いた後、調剤薬局に転職しました。

一年後、母校の昼夜開講制医療薬学コース修士課程に進学。

B氏は一年で修士課程修了に必要な単位をとるために、最初の年、講義がある時は早退して大学にまめに通いました。

そのかわり、休日に他の店に出るなどして勤務日数の帳尻を合わせました。大学院での研究テーマは、ジェネリック医薬品の経済効果と服薬指導関連でした。

漠然とした研究テーマを持っているのならば、思い切って大学院に行ってみては?とB氏は勧めています。

また、大学院で勉強するだけでなく、院生同士、教職員といった人脈が広がっていったことは大変有益な事でした。2年間の大学院を修了する頃には同期、上司の薬剤師、薬局経営の社長などにまで交流が広がりました。

今では、困った時、相談に乗ってほしいときなど、気軽に電話ができる関係にまで発展しました。