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薬剤師は何故、転職が多く、転職を繰り返す?また、何を求めて転職するのでしょうか?

そして雇用側はどのようなポリシーで人材を確保し、定着を図っているのか、それぞれの事情と薬業界の雇用関係を考えてみます。

薬剤師は何を求めて転職するのか?

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薬剤師の転職~賃金で転職先を決める?

転職する時、給与の金額は当然ながら一番の関心が高い分野です。薬剤師が転職する時、転職サイトや転職エージェントなどを利用する薬剤師が多いと思われます。

そ んな場合でも、薬剤師自身はコンサルタントにまかせっきりにしないで、自分が薬局経営者になったつもりで、賃金の法律等を最低限知っておくことが重要で す。

労働条件と給与が見合っているか、見合っていないのなら、その理由を述べられるぐらいであれば、それだけでも、採用側や転職サイトのコンサルタントに 一目置かれるはずです。

単なる、お金に拘るばかりの求職者ではないことを見せることが重要です。

また、求人案件が破格な賃金であった場合、その金額の裏を考えましょう。表向きだけで、実際、働き始めたら求人案件の内容と違っていたということもあり得ます。

や はり何でも「相場」があります。その賃金が相場からどれぐらい逸脱しているか、そのような判断力をつけるためにも、パート薬剤師、派遣薬剤師などの相場も 知っておくべきです。

時間給で考えれば、派遣薬剤師の賃金がいいと言われたりしますが、はたしてそれだけで決めてもいいのでしょうか?

安定 性から考えればどっち?など、色んな方向から考えて、その賃金が高いか安いかを判断しなければいけません。

A薬局でパートとして働くよりもB薬局で派遣と して働く方がお金がいい、でもA薬局は自宅から近い、少々、仕事が遅くなっても、夕飯を作る時間は十分あるなど、そのようなことも賃金に換算して考えてみ ましょう。

もしかしたら、A薬局の方がタイムイズマネーで賃金がいいという評価になるかもしれません。単なるお金だけで考えると、また、転職を繰り返すかもしれません。あまりにも転職が多いといい評価になりません。

求職案件に書かれた金額の数字に色々、付加価値をつけて考えてみましょう。

転職に失敗しやすい薬剤師の共通点

 

最近のデータでは、薬剤師転職経験者は、全体の8割以上で、2回以上の転職経験者が約半数と言われています。

平均転職回数は、男性が1.5回、女性は1.8回と、女性のほうかやや転職回数が多いようです。

転職による職場の変遷は、薬局から薬局が最も多く約半数です。その後、医療機関から薬局、企業から薬局と続きます。

 

院外処方せん発行以来、徐々に病院薬剤師のポストが減少し、製薬会社のリストラも珍しくなくなった状況の中で、薬局がその受入れの職場になったことは間違いないようです。

中途採用の求人案件は薬局ばかりで他の業種はあまりなかったという30代の女性の声、製薬会社から薬局へは簡単でも、薬局から製薬会社の転職は難しかったという20代の声がありました。

転職する一番の理由は?

転職の理由として一番多かったのが「職場の経営者のやり方に不満」です。各薬剤師に適合したキャリアを準備してもらえなかったという50代の男性、面接時に聞いていた話と実際の職場の環境が違っていたという20代男性の声があります。

二番目に多かった男性の理由は「仕事に遣り甲斐が感じられない」「休日などの勤務条件が合わなかった」です。店舗間で移動があっても、仕事内容は同じ、新しいことにチャレンジしてみたかっと30代男性。土日の休みが保証されず、残業時間も長かったという声もあります。

女性は男性と同じく「経営者への不満」が一番多く、次は「結婚、出産等」です。男女のライフスタイルの差が出ています。

転職に失敗しやすい薬剤師の共通点

印象が悪い転職3回以上

薬剤師を採用する側の企業が一番、注目するのは転職希望者の経歴で、転職回数を気に書ける企業が多いです。

薬剤師の中途採用を実施する薬局や人材紹介会社は30歳代であれば、3回までが許容範囲と言います。それ以上に、転職を繰り返したということは「採用しても又、すぐに辞めてしまうのではないか」「トラブルメーカーではないか?」と企業側に思われてしまいます。

3回以上の転職がある薬剤師は、面接で転職を繰り返した理由を詳しく聞かれる可能性が高いと考られるということのようです。

勤務期間が短いのも敬遠される

特に数か月いただけで、すぐに他の職場に転職を繰り返すようなケースも採用側は警戒します。

薬剤師のほうは、自分が考えていた職場ではなかったという理由があったにしても、数か月でその職場の全容がわかるはずはありません。

採用側は、短期間の勤務で転職を繰り返す薬剤師を協調性が無く、トラブルを起こし易い人間と判断せざるを得ないと言います。

会社に求めてばかりで自主性がない

会社に○○の研修制度があるか、□□を勉強させてくれるのかなど、会社側が何もかも御膳立してくれることを前提にした受け身の薬剤師も又、評価が低いようです。

勉強したいと向上心を見せてくれるのはいいけど、会社側に求めすぎるのは、自主性に欠けると考えられてしまうこともあります。

明確なビジョンを持っていない

はっきりとした明確なビジョンを持たなかったため、人材紹介会社の言うなりに転職先を決めてしまい、働き始めて、こんなはずではなかったと後悔する薬剤師。

こういう人は人材紹介会社ばかりに責任を押し付けてしまいがちです。しかし、最終的には自分で決めることです。

膨大な案件や情報を持つ人材紹介会社をうまく利用できなかった責任は、自分にあります。

明確な自分のビジョンをしっかりと持っていれば、人材紹介会社側も薬剤師の希望にあった案件を探し易かったはずです。

自分の5年後、10年後を予測しながら、働いていけば、無駄な転職は減るでしょうし、逆に今が転職のチャンスと見極めることが出来ます。

最終的には自分で決めると考え、企業や人材紹介会社にも認めてもらえるようなビジョンを持って行動しましょう。

きちんと働きたいのに、当たり前の薬局が見つからない

夫の転勤に伴って二軒の調剤薬局を経験し、今はフリーという女性Sさん。何故、転職ま

でもした薬局まで辞めることになったのでしょうか?

一件目の薬局は薬局側の約束違反で辞めました。雇用条件は月~金までであったにもかかわらず、いざ働き始めると、薬局長から「他の人もやっているから」と、土、日出勤まで

強いられてしまいました。この調剤薬局の会社に直接, 話してみましたが、担当者は言葉を濁すだけで、改善はされませんでした。二軒目は管理薬剤師である経営者の娘さんが出

勤したりしなかったりで、Sさんと事務員一人で基準をはるかに超える処方箋をこなさなくてはいけませんでした。

調剤、処方監査、投薬と全てをパート薬剤師のSさんが処理しなくてはいけない体制に責任が持てないと感じ、経営者に何度も改善を求めましたが、受け入れてもらえませんでした。

Sさんは「必要な薬剤師数が確保され、服薬指導、薬歴記入等が入念にできる体制の薬局で働きたい」と。そういう当たり前の薬局が近くに見つからない……。薬剤師を続けるか、思い切って職を変えるか、Sさんの心は揺れ動いています。

病院薬剤師の夢を捨てきれずに転職

大学院卒業後、大病院の薬剤部に就職したかったが、叶わず、調剤薬局に就職した男性Eさん。そこでは働きやすく、医師も薬剤師の職能に理解があり、とてもいい環境だったとのこと。

しかし、病院薬剤師への夢はどうしても捨てきれず、給料下落の覚悟で病院への転職を試み、約100床の病院に就職しました。

今は勉強したくて仕方がない様子で、研修会、医師との連携、インターネットからの情報収集にも熱心です。給料が減ったとはいえ、働きたかった病院に就職できました。これからも今まで以上に職能に磨きをかけようと27歳の若者は勉強し続けます。

その他

・医療機器会社に勤務していましたが、やはり薬剤師であるからには調剤は不可欠と転職して、処方箋枚数が月40~50枚の小さな薬局に転職。働くうちの薬剤師の職能を本格的にしたいと考え、もっとスキルを磨くことができる薬局へまた、転職しました。

現在はそこで管理薬剤師として充実した日々を送っています。

・50歳の男性薬剤師。今まで管理薬剤師をはじめ豊富な役職経験と持っているスキルを活用しながらやってきました。「若い薬剤師の指導を」「在宅医療を手伝って」「IVHの指導ができる人を探している」と誘われた所へは積極的に転職し、期待に応えようと一生懸命働いてきました。

経営側の雇用哲学

人材を見極めるポイントは「社会性」

A企業は新卒以外の場合、主に若いMR経験者を採用してきました。その理由は「MR経験者は製薬会社で教育を受けているため、社会人としてのマナーができており、患者さんとのコミュニケーションが上手く、責任感も強い事がメリットです。

一方、保険薬局の転職を重ねてきた薬剤師は「採用側が気を遣うということで積極的には採用しないようにしてきました。20年近く多くの薬剤師を雇った経験で得た知恵の1つだと。

欲しい人材が現れるまで妥協しない

有限会社のT薬局。どんなに人手不足のときでも薬剤師としての資質、T薬局の方針に合わない人は絶対に採用しません。

なぜなら、一度採用してしまうと、辞めてもらいたいと思っても簡単にできないことですから。

崩れそうな薬局は大体、人間関係がうまくいっていないところが多いです。同じ薬局内の薬剤師同志のコミュニケーションがとれていないと、調剤事故にもつながります。

また、薬局業務に対しては、薬剤師や他のスタッフとが常に話し合い、よいものは即座に取り入れる柔軟路線でやっていく努力をしています。

よい雇用関係を産み出すための秘訣は「約束は必ず守ること」とT薬局の社長はきっぱりと答えました。

薬剤師と企業の相互協力

今まで、転職を重ねる薬剤師は辛抱がない、おちつきがないなどという捉え方をされることもありました。

確かにそういった薬剤師もいて、経営者も困り果てたこともあったことでしょう。しかし、職能をスキルアップしたいと考える薬剤師は、さらなるスキルの向上が見込める職場、遣り甲斐のある職場を求めて転職を繰り返していることも事実です。

企業側は薬剤師がそこで働きたいたいと考える魅力的な職場を作り、薬剤師もまた、企業に必要とされる人材になる努力が必要です。互いの相互協力の上で良い職場、人材が生まれるのです。

日頃から経営者側になったつもりで薬局の経済を考えておくことは、非常に有益な事と思います。

すでに年金をもらっている、これからもらう予定のる薬剤師を雇用する場合の注意点

製薬会社や病院を定年退職した薬剤師が、どこかの薬局に引き抜かれ、再就職することになった場合、給与が多額であれば、年金額は減らされると言われています。

定年後の新たな出発に、今までの経験を生かして、薬局への再就職を考える人は少なくありません。

採用する側は、年金にも配慮した雇用契約を結ぶことをお勧めします。

60歳以降で厚生年金に加入して働こうとする場合、支給される年金と給与の合計が月額28万円を超えると、年金支給額が減額されます。

従って、働いてもらおうと考えている人にどんな働き方を希望しているかを確認し、年金の減額についての考えも尋ねてみなければいけません。

年金の減額を望まない場合

厚生年金の被保険者の範囲外になるように、雇用契約を結びます。

労働日数、労働時間が正社員の3/4未満になるような、パート勤務にします。

ただし、この方法であれば、国民健康保険に加入するか、元の勤務先の任意継続被保険者となる手続きが必要になります。

また、給与1円の差で年金受け取り金額に大きな差が出てくるので、企業を定年退職した薬剤師を雇う場合は、年金制度にも注意をしながら、給与を決めていくといいですね。

年金の減額は気にしないという人であれば、正社員として雇用しても問題はありません。