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薬剤師が薬袋に用法用量の記入を誤ったため、患者さんに健康被害が生じた場合、薬剤師はどのような法律的な処分を受けなければいけないのでしょうか?

第25条によると、

「薬剤師は販売または授与の目的で調剤した薬剤の容器または梱包に、処方箋に記載された患者の氏名、用法、用量その他厚生労働省令で定める事項をきさいしなければいけない(薬剤師法より抜粋)」

となっていますが、実際にはどのように対処されるのでしょうか?

ミスの内容

薬剤師は、患者さんに2個の薬袋を渡しました。

「こちらの袋には一日三回食後に飲んで頂くお薬が2種類入っています。もう一つの薬には一日一回、朝食後に飲んで頂くお薬が入っています。両方とも60日分です。お薬手帳には、今日からお飲み頂くお薬の飲み方や効果などが書いてあります。」

と、患者さんに薬と今回の薬の事が、書かれた用紙を貼ったお薬手帳を渡しました。

患者さんが自宅に帰り、薬のことを家族に言いました。

「食後に飲む薬と、朝だけ飲む薬をもらったわ」

「お前、朝だけのが無いぞ。両方とも一日三回になっとるぞ」

患者さんは薬袋を見ました。

「あらホントだわ」

ということで、一日一回でいい薬も一日三回も飲んでしまいました。

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一週間後、患者さんの夫がその時の薬袋を持ってきました。

「お薬手帳には一日一回と書いてあるのに、薬袋には一日三回と書いてあります。家内は自分が聞き間違えたんだとばかり、薬袋に書いてある方を信用して、三回も飲んでしまいました。

「一々、お薬手帳を見て薬、飲まんでしょう? 例え口頭では一日一回と言われたにしても、薬袋に三回と書いてあれば、自分の記憶よりも薬袋の方を正しいと思うでしょうが」

「そうですね」

「そうですね、じゃないでしょう。家内は入院する破目になったんですよっ」

 

お薬手帳や口頭では正しく情報を伝えることができたとしても、薬袋の記載は間違ってしまったという薬剤師。

この薬剤師は、調剤薬を患者さんに差し出す時に課された情報提供義務の業務はできていないことになります。

飲む前に、お薬手帳を確認すれば、このような辞退は避けられていたでしょう。

この薬剤師は患者さんが受けた健康被害に対して責任をどれぐらい負うことになるのでしょうか?

薬剤師は調剤約が適正使用されるための情報を提供する義務がある

調剤は特別な場合を除いて、薬剤師が行う独占業務です。

薬の専門家であある薬剤師が調剤を行うことで、薬剤使用による安全性が保たれているのです。(薬剤師法第19条)

これに、調剤薬が適正に使用されるため、患者さんに必要な情報提供野義務があります。

今回は、口頭やお薬手帳で情報提供を行いましたが、これについて何の問題も生じてきません。このような形で行っても差し支えないと言えます。

しかし、上記の薬剤師法第25条にもあるように、当然、薬袋にも正しい記入が義務づけられています。

患者さんが薬袋の用法用量を見て薬を飲むのは当然のこと

処方箋の指示に従って用法用量を守って薬を飲むことが、薬剤治療の効果を上げ、副作用出現を避けるためにも大変重要なことです、

そして、患者さんが薬袋の用法用量を見て薬を飲むというのは自然の流れです。

患者さんは薬剤師が話した内容と、薬袋に書いてある内容に矛盾があることに気付いていました。

しかし、お薬手帳には正しい内容が書かれてありました。とはいえ、患者さんは薬に関する専門的知識は持っていません。

従って、薬剤師が話した内容やお薬手帳が正しくて薬袋に書かれた内容、どちら正しいかわかりません。自分の持っている知識では判断できません。

これらのことを考えると、患者が間違えて飲んだと責めるのは酷だと言えます。

よって、薬剤師は情報提供義務を果たしたとはいえません。

薬剤師法に規定された罰則が科せられる

「一年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処し、またはこれを併料する」が科せられる可能性があります。(薬剤師法第30条)」

患者にも一定の過失はあったことになる

正しい用法用量が患者さんのお薬手帳に書いてありました。

また、患者さんは薬剤師が話した正しい用法用量も聞いています。また、薬袋に書いてあった用法用量とは違うことに矛盾を感じていました。

この矛盾を薬局に電話でも問合せをして正しい服用方法を知るべきでした。

これによって、患者さんが受けた健康被害については、薬剤師の責任が相殺され、責任の割合は薬剤師が8割で、患者さんが2割程度になる可能性が出てきます。

薬剤の御用が起きないように阻止

これは薬剤師として当然のことです。薬剤の用法用量を正しく伝えたところで、薬袋の用法用量の記載を間違えた場合、薬剤師は情報提供義務を怠ったことになります。

従って健康被害への賠償責任にプラスして、薬剤法の罰即規定が適用されることになります。

服薬指導において、口頭や文書(お薬手帳など)での説明と薬袋に書いた内容が違わないように細心の注意を払い、患者さんが、薬剤の誤った飲み方をしないように最新の注意を払わなければいけません。

患者さんにも薬剤を安全に服用する上で、用法用量は特に重要な情報であることを意識してもらうことを念頭に説明していきましょう。

薬剤師の説明に不明点、矛盾点があれば、遠慮せずに、薬剤師に質問するように話しておくことは、自己防衛という面から考えても重要です。

服薬指導での工夫

患者さんのほとんどが薬剤を飲む時、薬袋に書かれた用法用量を見ながら飲みます。一々。お薬手帳などを見たりしません。

服薬指導の時、薬袋を見ながら、患者さんと一緒に確認していきましょう。その時は必ず声に出して。耳から、目から患者さんに情報を確認してもらうことが大事です。

患者さんによっては、きちんと理解できたのかどうかと心配になる事があります。そのような時はそのことを薬歴に記入し、二日後ぐらいに説明通り飲めているか、電話で確認するのもいいでしょう。

特に、血糖降下剤と血圧降下剤など飲み過ぎても飲み足らなくても健康被害が起きやすい薬剤を出した場合は、特にその必要があります。

又、骨粗鬆症の薬で、一週間にい一回、4週間に一回といった、忘れやすい薬は。飲む前の日に電話をかけてみましょう。

薬袋などを意識しなくても薬剤師の言葉で薬を飲んでくれるので、万が一の記載ミスも防ぐことができます。