aki-1

大型ドラッグストアの進出や相次ぐ病院の撤退等が原因で、中堅以下の薬局の経営状況は、非常に厳しくなっています。

そのため、薬局を閉じなければいけないところまで追い込まれている経営者も少なくありません。

広域調剤チェーンや卸が薬局を買う狙いは

薬局に経営困難の気配が見えてくると、広域調剤チェーンや卸にM&A(合併・買収)で買われてしまうケースが多くなっています。

M&Aが行われる理由

広域調剤チェーンが売上をアップしようとした場合、病院や診療所の門前という立地条件のいい場所は大体、抑えられているため、新規出店よりM&Aの薬局のほうが効率的です。

卸においては、売上の拡大はもちろんのこと、買収した薬局には、卸たちが取り扱う薬を優先的に有利な条件で販売できるメリットがあります。医薬品売上の半分以上は、薬局が占めています。

しかし、広域調剤チェーンや卸は、薬局を数店舗、購入した後、採算のとれない店舗は整理していきます。そういう事情を知る薬局は、経営者交代の時を狙って、閉店するケースも少なくありません。

また、倒産を避けるために自ら廃業したり、採算のとれない店舗を整理したりします。

閉店してしまった調剤薬局さんの事情

大手DS(ドラッグストア)の相次ぐ進出にKO!

この話は巷でもよく聞かれます。

株式会社S薬局が倒産。負債額は5000万円。100年以上も続いた老舗薬局です。

S薬局は周辺地域の薬局の中では、大型店の部類だったのですが、大手DSがS薬局近辺に乱立していきました。

大手DSに対抗すべくエステサロンを併設して売り上げの増加を試みようとしたものの、上手くいきませんでした。

一番いい時は1億5000万円以上の売り上げがありましたが、最終的には5000万円以下にダウン。S薬局の社長は「たしかに大型店の影響は大ありでしたが、それよりも保険調剤分野で手を抜いたことが一番の原因」と話しています。

薬事法改正がきっかけで閉店!

yakkyoku-hatan-1

薬局やアパート経営など総合的に事業をしていた薬剤師でもあるK氏。こちらも薬局が大手DSの影響をかなり受けたようです。

しかし、それ以上に当時の薬事法改正が痛手でした。OTC医薬品が副作用のレベルに応じて第1~第3類に分けられることになりました。

K氏が悩んだのは第一類医薬品。この薬を取り扱う為には開局中は薬剤師が常駐しなくてはいけないという規則がありました。今までK氏は基本的には薬局にいましたが、他の事業に顔を出す時は、販売登録者に任せて外出していました。

しかし、これからはそうはいきません。第一類医薬品は、薬剤師を常駐させていないDSとの差別化には打って付けの材料。

しかし、K氏の薬局は薬剤師がK氏だけで、他は販売登録者。第一類医薬品を売るためだけに薬剤師を置くのは少々、抵抗があります。薬剤師の人件費もバカになりません。第一類医薬品の種類は第2、第3類医薬品の何分の一もありません。

それでなくてもすでに大型DS乱立の煽りで、経営も下落し始めていました。K氏は決断しました。自分の薬剤師という札を捨て、事業家として生きていくことを選択しました。

病院の門前薬局が抱えるリスクと高齢薬剤師のぼやき

yakkyoku-hatan-2

最近は私立、公立の病院を問わず、経営悪化による閉院、勤務医の不足から診療科の閉鎖が見られます。

また、個人病院の医師の高齢化や急死、または復帰できないほどの大病で医師が倒れるといった場合、調剤薬局にまで煽りを当然受けてしまいます。

一方、全保険薬局がレセプトオンライン請求義務化になったことで、ノホホンとやってきた「町の薬局さん」や高齢の薬剤師がいる薬局が、閉店をやむなく決行したところもあります。

「今さらパソコンを触る気になれない」

「オンライン化に対応しようという気力がもうない」

などというのが理由のようです。

医薬品卸もツライです

卸の営業担当者は、薬局に最も密着していますから、担当の個々の薬局の経営悪化のサインをいち早くつかんでいます。

薬局の売り上げがよくても、支払が一回延びたり、仕入代金を半年後に支払っているようなところには、貸し倒れを防ぐためにも、納入額に上限を付けることもあるようです。

「でも、最終的に卸は、薬局を守りますよ」

と、卸の営業担当者は言います。なぜなら、潰してしまったら、こちらも損をすることになるからです。

そこが「薬局をうまく立て直しますよ」と、外部から近付いてくる口ばかりの悪徳コンサルタントとの違いです。

これからの展望

aki-1

経営が現在のところ、何とかなっていても、何も考えずにやっていると、調剤報酬の改定などをはじめ、薬業界の変遷に合わせられなくなり、閉店も視野に入れなくてはいけなくなることでしょう。

しかし、これを地道に頑張っている薬局側から見れば、他店の撤退、閉店は、その分、処方せんが回ってくるので、有難いと言います。

このあたりで、いったん、業界が整理されれば、その後はまた、いい展開になるのではないでしょうか、基本的には成長産業ですからというのが専門家の意見のようです。