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薬局も他の職場と同じで経営者が給料の金額を決めます。

とはいえ、働く側のスタッフの人たちもどのように給料の金額が決められていくのか知りたいと思いませんか?

賃金の考え方

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労働基準法では給料、手当、賞与などの名称を問わず、経営者が労働の対価として労働者に支払うお金は全て「賃金」とされています。

そのお金が賃金に当たるか当たらないかで支払方法を決定したりします。

しかし、薬局経営者側が、スタッフに支払う金額の全てを賃金にあたるわけではありません。

例えば、仕事で使用する文房具の代金に当てたり、業務命令で出張した場合も、薬局経営者側はスタッフにお金を支払いますが、このような費用は当然、賃金ではありません。

薬剤師に白衣を支給していたとしてもこれは賃金とは違います。

結婚祝い金、病気見舞金などといった経営者側がスタッフに対して、任意、恩恵として支給するものも、原則として賃金には含まれません。

ただ、就業規則や労働契約の支給に関する規定があれば、賃金に相当します。賃金は薬局スタッフやその家族にとって唯一の収入源で、支払い方法についていくつか決まりがあります。

◇賃金支払いの5原則

  1. 通貨払い
  2. 直接払い
  3. 全額払い
  4. 毎月払い
  5. 一定期日払い

賃金カットができるのは、遅刻のみ

まず、賃金は通貨で支払わなくてはいけません。

とはいうものの、うちの薬局は銀行振り込みなんだけどと、思う人もいるでしょう。

其々のスタッフの同意があれば、金融機関の預貯金口座に振り込むことができるのです。ここで、また、???と思う人もいるでしょう。口座の振り込みを同意した覚えはないんだけど」と。

 

これは給与振込先として薬局側経営者に、口座番号等を薬局経営者に通知したということは、同意を得たと見なされるためです。

本来、通貨払いの原則は、不渡りの可能性がある小切手による支払いや、現物支給による支払を原則として禁じるためでもあります。

また、賃金は薬局スタッフに直接支払われなければいけません。たとえ委任状を持った代理人が賃金を受け取りにきたとしても、その代理人に賃金を支払ってはいけません。

全額払いという決まりもあります。但し、給与明細には書かれてありますが、所得税の源泉徴収や社会保険料の控除など法令に規定がある場合は、それらを差し引くことが認められます。

 

では、薬局スタッフが遅刻した場合は、どのように計算されるでしょうか?

例えば、10分遅刻、または早退した場合、働かなかった10分間分の賃金を差し引いて給料を支給することは、差し支えないとされています。ただ、賃金として「10分」を超える額を差し引くことは全額払いの規則に反することになります。

薬局スタッフに対する制裁として給料の一部をカットする場合には、就業規則に規定を設けた上で、一回の減給額を一日分の賃金の半分以下に抑えるといった厳密なルールに基づいて行う必要があります。

最低賃金を下回れば、重い罰金が!

大半の薬局では、月給制が採用されています。ボーナスなどを除き、毎月一回以上、一定期日に支払わなければいけません。

最近、年棒制の導入を考えている薬局もありますが、このような場合でも、支払は毎月行わなければいけません。

支払期日は、毎月●●日というように日にちが決められている薬局が多いです。

では、日にちではなく、曜日、例えば、毎月の最終金曜日ときめたとしても、そんなに問題はなさそうに見えます。しかし、これは一定期日払いの原則に反します。

何故なら、曜日であれば、24~31日の間で給料日が固定されないからです。

賃金の額について、薬局経営者側は最低賃金法の規定を守らなければいけません。

これは地域や産業別に一時間労働当たりの最低額を定めたものです。

薬局の場合、薬剤師の時給が定められた最低賃金を下回るということは考えにくいのですが、パートの事務職員の時給が問題になる事があるかもしれません。賃金は働く者にとって、最大の関心事です。

それに関する不満を持ったスタッフは、労働基準監督署に相談に行く可能性があります。その結果、調査が入るということになれば、管理薬剤師は否応なしに責任を問われる可能性が出てきます。管理薬剤師は薬局を統一する責任者でもあるので、勤務側とはいえ、薬局の責任者として、必要最低限の賃金の法律等は知っておくべきと考えられます。

賃金に対するQA

Q1

薬局で売られているOTC医薬品やサプリメントを給料の一部としてスタッフに支給することができますか?

A1

通過払いが原則です。

Q2

薬剤師が学会出席のために払った出張旅費は、賃金になりますか?

A1

薬局経営者側が労働の対価として薬剤師に支払う全てのものは賃金とされますが、出張旅費のように業務に必要な実費を支給した場合は、含まれません。

薬剤師の転職~賃金で転職先を決める?

転職する時、給与の金額は当然ながら一番の関心が高い分野です。

薬剤師が転職する時、転職サイトや転職エージェントなどを利用する薬剤師が多いと思われます。

そんな場合でも、薬剤師自身はコンサルタントにまかせっきりにしないで、自分が薬局経営者になったつもりで、賃金の法律等を最低限知っておくことが重要です。

労働条件と給与が見合っているか、見合っていないのなら、その理由を述べられるぐらいであれば、それだけでも、採用側や転職サイトのコンサルタントに一目置かれるはずです。

単なる、お金に拘るばかりの求職者ではないことを見せることが重要です。

また、求人案件が破格な賃金であった場合、その金額の裏を考えましょう。表向きだけで、実際、働き始めたら求人案件の内容と違っていたということもあり得ます。

やはり何でも「相場」があります。その賃金が相場からどれぐらい逸脱しているか、そのような判断力をつけるためにも、パート薬剤師、派遣薬剤師などの相場も知っておくべきです。時間給で考えれば、派遣薬剤師の賃金がいいと言われたりしますが、はたしてそれだけで決めてもいいのでしょうか?

安定性から考えればどっち?など、色んな方向から考えて、その賃金が高いか安いかを判断しなければいけません。

A薬局でパートとして働くよりもB薬局で派遣として働く方がお金がいい、でもA薬局は自宅から近い、少々、仕事が遅くなっても、夕飯を作る時間は十分あるなど、そのようなことも賃金に換算して考えてみましょう。

もしかしたら、A薬局の方がタイムイズマネーで賃金がいいという評価になるかもしれません。単なるお金だけで考えると、また、転職を繰り返すかもしれません。あまりにも転職が多いといい評価になりません。

求職案件に書かれた金額の数字に色々、付加価値をつけて考えてみましょう。

日頃から経営者側になったつもりで薬局の経済を考えておくことは、非常に有益な事と思います。