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経営形態が変わった時、あるいは病院の移転があった時などをきっかけに病院敷地内に調剤薬局、いわゆる門内薬局が建てられることが近年、しばしばみられるようになりました。

調剤薬局は法的に構造的、機能的、経済的に医療機関から独立していなくてはいけないことになっていることから考えると、門内薬局はありえません。

にも拘らず、「経営面で医療機関と調剤薬局が十分、独立しているのであれば、構造的な独立性は緩やかにすべき」という判例が出たこともあり、それ以来、門内薬局は増えていると言われています

薬剤師会の言い分

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ある都市薬剤師会が、病院敷地内に建てたA薬局に対して保険薬局再検討を厚生局に求めました。

この都市薬剤師会に賛成する大元の日本薬剤師会関係者は、「医療機関と協働のように見える薬局が増えると、医師の診療と薬剤師の調剤が経営的にも共同であると国民が誤解する。このまま、黙っていては非独立性を認めたことになる。

せっかく定着しつつある医薬分業体制を揺るがすようなことになってはならない」と話しています。今後、このようなことがあれば、個別ごとに都道府県薬が対応し、日本薬剤師会も厚生労働省に申し入れを施行していくようです。

門内薬局の増加理由~病院の経営困難

 

現在、門内薬局は増えていますが、この薬局らは「保険医療機関と一体的な構造」として出された具体例を巧妙に回避しています。

つまり、同じ敷地にあるように見えながら独立性も持っていると主張できる構造になっているのです。

薬局と医療機関の建物、土地は別々になっており、この二つの建物は公道、または公道に準ずる道を通らなければ、患者さんは往来できないようになっているのです。

 

このような門内薬局は栃木県、東京などに存在します。

例えば、門内薬局が病院裏手の公園の駐車場へと続く公道に面して建っていたり、病院側からは公道を通らなければ門内薬局に行けないようにフェンスで仕切られていたりと独立性を持つための工夫がされています。

門内薬局は病院新設、移転、または経営形態が変わる時をきっかけに設置されている

病院側が薬局を建てる用地を売った利益やテナント入居料を薬局から得ようとする行為は薬局の収益の大半が健康保険料と関連していることから、「保険料ビジネス」ではという一部の批判が出ていると言われています。

それでも、医療経済実態調査(2011年6月実施)によれば、国公立病院の約半数、民間病院の約1/3が赤字ということで、経営改善のために門内薬局を誘致する事例はなくなりそうにないと考えられています。

構造における独立性は緩やかに解釈してよいと……

2013年6月に東京高裁が、病院敷地内立地の門内薬局の保険指定を行うように国に命じる判決を下しました。

つまり、高裁は医療機関と薬局の経営の独立性が十分、確保されていれば、構造上の独立性は緩やかに解釈して良いという見解を示しています。

現状をさしおいて門内薬局を責めるばかりでは理屈が通らない

構造的独立性に重きを置かない高裁の判決が下され、また、「公道を通らずに病院と薬局との往来ができないようフェンスを設ける」という、日頃よく行われている行政指導に対して2014年3月に見直すべきとの通達が総務省関係から出されました。

このような現状を考えていくと、高裁の判決「医療機関と構造が一体化している」という外観だけを浮き立たせ、門内薬局が保険薬局としての適性かどうかを見直すようにという日本薬剤師会側の言い分は現実的ではありません。

その門内薬局が医薬分業の体制に合致しているかどうかの論点で議論するのでなければ、外部から見た場合、単なる身内論争でしかないと言えます。

医薬分業体制という本質からずれて門内薬局を責める日本薬剤師会の理屈は、通らないのです。

最終的には患者さんを守る体制になっているかどうかにある

薬事法等に詳しい専門家の話。

保険薬局としての適合性を考えた場合、最も重要なのは機能的な独立性があるかどうかです。

構造的、経済的な従性があれば、機能的な独立性も嘘臭くなってきます。その路線で考えると、病院と近くに存在する門内、門前薬局は「望ましくない」とは考えられます。

 

しかし、医薬分業の真髄は、医師と薬剤師が独立していながらも、連携して薬物治療を施すことです。

ということは、病院との距離が重要なのではなく、医師の処方内容に疑義照会を行い、不備を無くすという責務を全うしているかどうかに重点をおくのが当然なのです。

これが機能的な独立ということにつながります。

 

保険薬局がきちんと法的に適合しているかどうかの一番の決め手は、個々の薬局が疑義照会という機能を通じて患者さんの安全を守っているかどうかにあります。

門内薬局に目くじらを立てるよりもまずはやるべきことをきちんとしてから

国民はこれまで薬局を主に「病院と薬局の距離」に利便性を求めていました。

しかし、薬局の機能的な部分を国民がきちんと理解してくれれば、薬局は自分を守ってくれるのかどうかという視点で薬局を国民は評価するようになると考えられます。

効率よく多くの処方箋を集めていくという商業形態はいずれ成り立たなくなるのではと言われています。

そうなると、門内薬局のことに目くじらを立てて時間を費やしている場合ではなく、患者さんを守る体制の薬局を造る事に集中すべきなのではないでしょうか?