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病気、特に生活習慣病は薬の服用だけでなく、食事への配慮も重要です。

その食事の注意点など、以前と見解が変わった部分があります。

服薬指導の時、食事に ついて患者さんから質問された時、定番の答えではなく、新しい情報も含めた食事指導ができれば、薬剤師としての信頼度、スキルも上がっていくこと間違いな しです。

血糖が高いと言われたけど、ご飯を減らせばいいの?

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糖尿病の罹患率がうなぎ上りの現在、このような質問に薬剤師は頻繁に出会います。

炭水化物の量を極限までに減らし、蛋白質や脂肪で栄養を補う「低炭水化物ダイエット」がアメリカから日本に上陸し、大流行しました。

このダイエットを、糖尿病にも有効に違いないと実践している患者さんも多いと考えられます。

この食事療法は長い間、賛否両論で議論が行われています。

糖尿病専門医の見解は「低炭水化物食は短期間であれば、血糖を改善、体重を減少させるが、この食事を長期間行った場合の効果、安全性についてはまだ、明らかにされていない」ということです。

熱量の5~6割を炭水化物で摂取

先述した食事療法の大流行を前に、2013年3月、日本糖尿病学会が糖尿病の食事について国内外の論文を検討した結果まとめ、提言しました。

「糖尿病で推奨される炭水化物の摂取比率は50~60%」

との見解を発表しました。

蛋白質や脂質を摂り過ぎた場合、代謝がうまく行われなくなったり、合併症が出現したりする恐れがあるとして、糖尿病患者さんでも、炭水化物、蛋白質、脂質の三大栄養素をバランスよく摂るべきという考えを示しました。

従って、患者さんから「ご飯を減らせばいいの?」と聞かれた場合、あくまでもバランスが重要で炭水化物だけを減らすことはかえって、危険と言うことから話していくべきです。

患者さんへの指導の仕方の一例

食事を食べる順番を変えるのが効果的です。

糖尿病の管理目標は、高血糖による合併症や心血管系の予防。動脈硬化が原因ですか、動脈硬化は食事の影響を受け、食後の急激な高血糖が大いに関与しています。

この高血糖は食べる順番を考えることで改善できるようです。

食事のメニューにサラダやおひたしなど、野菜料理を入れ、まずはそれから食べます。この方法は予想以上に効果が出るようです。

その理由は……

先に食べた野菜の中の食物繊維が、炭水化物や脂質の吸収を遅らせ、野菜を食べた刺激で消化管からインクレチンホルモンが分泌されるので、米飯を食べた時の血糖上昇が抑えられるのではないかと言われています。

 

インクレチンホルモン

食事をすると、腸の刺激で消化管ホルモンが分泌。その消化管ホルモンの中にはインスリンの分泌を増加させるものがあります。

それらを総称してインクレチンホルモンと言います。このホルモンは血液中のブドウ糖の量に依存するので、ブドウ糖の濃度が80mg/dl以下では、インスリンの分泌は抑えられますので、これが原因で低血糖になるということは起こりません。

 

そして、よく噛むことです。ゆっくり食べることは、食べている間に満腹中枢が刺激されるので、過食を防ぎます。

また、良く噛んでいると、唾液の中のアミラーゼという消化酵素が出てきます。食物の消化だけでなく、甘味も感じられてきます。

砂糖控え目にした食事でも、噛めば噛むほど、甘味が出ておいしく食べられます。

腎機能がおちたら、肉魚の蛋白質は、食べてはいけないの?

糖尿病や加齢などで腎機能が低下した状態を慢性腎臓病(CKD)と言います。

CKDになると、腎臓への負担を軽減するために食塩や蛋白質の摂取制限を言われることもありますが、薬物治療に比べて手間がかかることから、以前は多くの医療機関で食事療法が積極的に行われることがありませんでした。

しかし、近年、CKDのステージが4、5という腎機能低下がかなり進行した患者さん野場合、薬物治療に厳密な食事療法を組み合わせることでかなり改善されることがわかってきました。

腎機能が低下するほど、食事療法は重要になってきます。管理栄養士による厳密な食事指導と適切な薬物治療で透析導入を当初の見通しをより大幅に遅らせることができた実例も沢山報告されるようになりました。

日本腎臓学会の2012年のCKD診療ガイドでは、食塩は6g/日未満、蛋白質ではステージ3で0.6~0.8g/kg標準体重/日。ステージ4,5では、0.3~0.6kg/標準体重/日を勧めています。

ステージ1,2の軽症患者さんの食事指導は、あまり行われていないようですが、一般人よりも塩分や蛋白質、エネルギーを多く摂っている場合は、問題があると言えるでしょう。

低蛋白質のポイント

医療機関では管理栄養士の指導に基づき、栄養バランスがとれた低蛋白食が考案されますが、患者さんが自分で蛋白質の制限を行う場合は、エネルギー不足にならないように注意が必要で、炭水化物や脂質から十分にエネルギーの補充を行わなければいけません。

それに加えて、少量の蛋白質で必須アミノ酸をバランス良く摂るために肉や魚を食べることも重要なポイントです。

プリン体を制限すれば、痛風の発作を防ぐことができる?

痛風になったらプリン体がたくさん入っている食品は、控えるというのが定番でした。しかし、現在はご存知の方もおられると思いますが、大きく変わっています。

痛風の原因となる尿酸は、プリン体から産生されます。そのため、日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症。痛風の治療ガイドライン(第二版)の中では、痛風患者や血清尿酸値が7.0mg/dl以上になるとプリン体の摂取を一日400mg以下になるよう指導しています。

プリン体の78割は体内で合成される

食品から摂取するプリン体は、体内で合成されるより少ないと言われます。

そのため、痛風患者さんが高プリン体食品を制限する意味は、あまりないのではと考える専門家もいました。

痛風を発症させやすい本当の理由

調査をしてみると、プリン体をたくさん、摂るよりも、体重増加、飲酒などの生活習慣の乱れのほうが痛風を発症しやすいことがわかっています。

まとめ

このように、食事の仕方も研究が進むと同時に、以前とは違った結果が出てしまうことが多くあります。

薬剤師は常に新しい情報に敏感になっていなくてはいけません。

自分で探して見つけた新しい情報を服薬指導の中に織り交ぜていくことで患者さんからの信頼を得ることができます。