あるグループホームに入所している患者さんに処方されている薬のことで、患者さんの家族から薬剤師に相談してくることがよくあります。

このあたりは、医師よりも薬剤師の方が相談しやすいようです。薬剤師は医師と患者さんとのパイプ役として動き、疑義照会を行って、処方変更などが速やかに行われるように働きかけていかなくてはいけません。

また、近年、介護現場では医療と福祉の連携が、強く求められています。例えば、ケアマネジャーの場合、それまでの職業に福祉、医療関係、様々な分野の出身者がいます。

特に、福祉関係出身者のケアマネジャーは、背景の違いから医療との連携に難しさを感じている場合が多いと言われています。ここで、薬剤師は医療と福祉との連携に役立つことができるかどうかを考えていきたいと思います。

また、薬だけでなく、介護相談ができる町の薬屋さんとしても、その役割を十分に発揮できるように頑張って行きたいものです。

次は介護現場に薬剤師が介入した事例を紹介していきます。

1 退院後も処方されていた薬を中止したことで、元気回復

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患者さんは脳梗塞を起こし、入院。せん妄、夜間に大声を出す、点滴の針を抜くというような行動が見られたため、グラマリールがその頃から処方されていました。

退院後の在宅治療のため、薬剤師が自宅に何度か訪問しました。

患者さんの妻は、友人と旅行に行ったり、老人会に参加したりと、積極的に外出していましたが、患者さんは何をやっても面白くなく、テレビを見ながら、留守番をしていました。

そこで薬剤師は患者さんの飲み薬の中にグラマリールが退院後にも処方されていることに気付きました。

グラマリールの適応症状は、脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、俳諧、せん妄などですが、退院後はそのような症状も改善されて、落ち着いていました。

そこで薬剤師は、医師に相談しました。次回の受診からグラマリールの処方を中止しました。その後、患者さんも妻と老人会に、また、一人で囲碁教室に通うようになり、活動が積極的になっていきました。

2 残っていた薬から服用していたため、適切な薬剤の服用ができていなかった

薬剤師が訪問を行う以前に患者さんは、風邪で病院にしばらく通っていました。薬剤師が患者さんの病状について尋ねると、先日までは点滴、現在は内服薬をもらっているとのこと。

しかし、その処方薬は、全く飲んでいませんでした。では今、飲んでいる薬は何か?と尋ねると、押し入れの中から残薬と考えられる薬袋を出してきました。「残っている薬から飲んでいる」と、患者さん。

今回は肺炎をおこしており、抗生物質クラリスが処方されていました。これまでの薬には入っておらず、今回新しく処方されていました。従って、クラリスは飲んでいなかったのです。

薬はヘルパーが受け取っていました。患者さん、あるいはヘルパーに薬剤情報、服薬指導がうまく伝わっていなかったということになります。

これからは、薬剤師が自宅訪問をし、その都度、服薬状況の確認、新しく飲み始めたクラリスの副作用の出現に注意を払っていきました。

やがて、肺炎も完治し、クラリスを無事、飲み終えることができました。

3 自己判断で服薬中止をしたことが原因で、体調悪化 老人施設に入所

心不全のため、利尿剤が処方されていました。しかし、利尿剤を飲むと、トイレに行く回数が増え、外出が困難のなるからという理由で、利尿剤を飲んでいませんでした。

当然、心不全が悪化して、呼吸困難となり、救急車で救急病院、その後、介護老人保健施設に入所となりました。

このケースは薬剤師が訪問をしていなかったケースです。薬剤師が訪問して、自己判断による利尿剤の服用中止に気付いていたら、このような最悪事態は避けられていたと考えられます。

4 ふらつきの原因を見逃した 薬剤師の関与はなし

この例はケアマネジャーからの報告内容です。

この患者さんはよく転倒するということから、整形外科を受診しました。

整形外科医は筋力低下による転倒と考えらえるとし、リハビリ中心にという意見書をケアマネジャーに提出しました。

この患者さんは抗パーキンソン薬を内科医から処方され、一日3回、飲んでいました。

ケアマネジャーの報告によると、坑パーキンソン薬は一日3回服用になっており、患者さんは、昼、飲むのをよく忘れていたこと、また、転倒は午後に起きることが多かったと。

もし、このケースに薬剤師が介入していれば、坑パーキンソン薬がきちんと服用されていない、または、この薬は適切ではないと、意見することができたでしょう。

そして、筋力低下でリハビリをするにしても、医師やリハビリ担当者と連携を取り、処方変更も含めた医療と介護を両立させるケアプランの作成に薬剤師の意見、提案が役に立ってきます。