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高齢者は生活動作が困難になり、薬の服用に関して、色んな問題どの世代よりも起き易くなっています、

よく見られる嚥下困難、記憶力の低下などは、薬の服用に支障をきたします。また、高齢ゆえの肝機能や腎機能の低下は、薬の副作用、相互作用に大きく(影響します。

高齢者の薬物治療が上手くいくか、いかないかは薬剤師の手腕にかかっていると言っても過言ではありません。

高齢者の薬のコンプライアンスを良くするために薬剤師は頑張っています。その奮闘ぶりを管理薬剤師に語ってもらいました。

一包化にしても飲み忘れ、飲み間違いを起こす高齢者のために

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一包化の分包紙にはアサ、ヒル、ヨルと服用時点が印刷されますが、それは普通の字の大きさであまり濃くありません。

そのため、分包紙にマジックで大きく服用時点を書き、色分けもします。

また、飲んだか飲んでいないかわからなくなる人には、分包紙に日付、曜日を書く、薬袋に服薬状況を把握できる表を貼るなどして、渡しています。

次回、病院に行く予定日も薬袋に書き、薬歴にも書いておきます。ここまですると、かなりの高齢患者さんが「飲み間違いをしなくなった」と言ってくれるようになりました。

中には、「日付はもういいよ」と、薬剤師の仕事の負担を減らそうとしてくれる人もいます。

片マヒのある人でも分包紙をきれいに切れるように

分包紙に切れ目を入れて患者さんに渡すことがあります。例えば、脳梗塞などの後遺症で片マヒになってしまった場合、自由に動くほうの手だけで切れるように切れ目の方向を考えて切ります。

例えば、左がマヒしている場合、左手で分包紙を抑えて、右手で切れるように右側をカットします。

ただ、このようなサポートは必要な人だけに行います。あまり手助けすると、逆に自立を妨げることになる可能性があります。ケースバイケースで行っています。

嚥下補助製品で飲み易く

高齢患者さんは、嚥下(えんげ)困難をおこしやすく、錠剤を上手く飲み込めない人がいます。

そのため同じ成分の散剤も用意しています。

他にも、同じ成分で小さい錠剤があれば、それに変えたりします。また、嚥下補助製品を使用することでさらに飲み易さは増してきます。

嚥下補助ゼリーというものも売られていますが、少々値段も上がるため、値段が気になる人には、安価な袋オブラートを勧めています。

袋オブラートに薬を入れて包み、少し水に浸し、周りがトロッとしてきたら、飲み込むとスムーズに飲み込めます。

服用時点を飲み易い時間帯に変更

薬によっては、処方箋に朝と書かれてあっても、いつ飲んでもいい薬は結構あります。

例えば、HMG-CoÅ還元酵素剤やプロトンポンプ阻害剤は、処方箋に夕食後と書かれる場合が多いのですが、一日にうち、いつ飲んでもいいものもあります。

このようにいつ飲んでもいい薬は、高齢患者さんの都合やライフスタイルに合わせると、コンプライアンスが上がります。

例えば、服用時点が夕食後だったのを、ホームヘルパーが来る昼間にし、服用時に声かけをしてもらえば、飲み忘れを防ぐことができます。

また、睡眠剤を飲み忘れる人はあまりいなので、睡眠剤を飲む時に他の薬も一緒に飲めるように、医師に相談する方法もあります。

薬剤師ではなく、高齢患者さんが話し易い状況を作る

高齢患者さんのコンプライアンスを上げるためには、コミュニケーションがカギとなります。

そのためには、時間をかけて高齢患者さんの話を聞き出すことが重要です。

患者さんとの信頼関係が築けていないと薬が実際に飲めているのか、薬が飲めないのであれば、その理由など、本当のことを話してもらえません。

まず、薬の説明の前に高齢患者さんが話し易い状況を作り、話しを親身になって聞こうとする姿勢をみせることが重要です。

特に1人暮らしの場合、相談相手がいないストレスを理解する必要があります。

薬剤師が自分の良き相談相手になってもらえるという安心感を与えることで、コンプライアンスが良くなり、病状も好転するといったケースもまれではありません。

説明は何度も繰り返して

高齢患者さんは、何度聞いてもすぐに忘れてしまうことがよくあります。

そのため、薬を飲み忘れると、どんな不都合なことが起きるのかということを繰り返し説明しなくてはいけない時があります。

副作用を不安がる高齢患者さんに対して、頻繁に副作用のチェックをすると、服薬拒否につながりかねないので、薬の説明には十分な配慮が必要です。

不安がる高齢患者さんには「薬のプロである薬剤師が常に○○さんの薬をきちんと管理をしていますので、ご安心ください。

現在は副作用はほとんど出ておりませんが、万が一、不安な症状が出てしまったら、必ず、先生か薬剤師に相談してください」などと、話しかけてみましょう。

話しにくい話でもしてもらえる薬剤師に

薬剤師も薬だけでなく、介護の知識も持っていると、より、高齢患者さんに寄り添うことができます。

例えば……

排尿障害があり、恥かしいという認識から誰にも相談できず、外出困難になっていた高齢女性患者さん。

病気は皮膚疾患のみだったので、排尿障害のことで病院には行ってませんでした。

薬剤師が服薬指導をし終えた頃に、薬剤師が女性だったからか、患者さんのほうから排尿障害の話をし始めました。

女性の場合、尿道が短いというだけでなく、尿が漏れないようにする骨盤底筋群が弱くなることで頻尿や尿漏れになることが多いです。

そのため、重い荷物を持った時やくしゃみをした時など尿がもれる腹圧性尿失禁になり易くなります。

薬剤師は女性患者さんに病院の受診を勧めますが、「恥ずかしい」と拒否。

そこで、まだ軽症なので、介護の勉強で習った骨盤低筋群を強くする体操を教え、失禁パンツや尿とり用パットの使用を勧めました。

「紹介した体操を約3か月続ければ、尿漏れは軽症のようなので改善できますが、改善されなければ、病院に行きましょう」と、言いました。

できるだけ病院に行きたくないという思いを胸に体操したせいか、3か月もたたずに改善されました。

恥ずかしくて話しにくいと言いながらも、薬剤師に打ち明けた患者さん。このような患者さんが増えていくことは薬剤師にとって遣り甲斐があるし、薬剤師自身の自信にもつながります。

まとめ

高齢患者さんは、他の世代にはない特殊な部分が沢山あります。

全てに対応するのは難しいです。

しかし、一つ一つ丁寧にコミュニケーションをとることで、他の悩みもひきだして、解決の糸口を見つけてあげられる薬剤師を目指したいものです。