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実は、症状の無い人を対象にした脳のスクリーニング検査についてはまだ医学的エビデンスが無いのです。

「脳ドッグ」という脳中心とした人間ドッグは、日本独自の検診なのです。他の国では一般的には行われていません。

日本の場合、1980年代の後半ぐらいから頭部CT検査を用いた「脳ドッグ」が開始されました。

脳ドッグで最初の頃は、頭部CT検査が実施されていましたが、現在は頭部MRI・MRA検査が主流となっています。

頭部MRI検査とCT検査の違い

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1970年代ごろから、脳の病気の診断にX線を使用したCT検査で実施されていました。

そしてこのCT検査は脳の血管を抽出するために、造影剤が入った注射をしなくてはいけませんでした。1980年代に入ると、核磁気共鳴画像診断装置MRI検査が登場します。

強力な磁石の筒の中に入り、磁気の力を使って体の臓器や血管を撮影する検査です。

CT検査と違い、放射線による被曝の危険性もなく、造影剤も使いません。そしてコンピューターで脳血管が抽出できるため(MRA)、脳のスクリーニング検査はCT検査からMRI検査に変わっていきました。

MRI検査をやり始めの頃は、画像の解離度がCT検査よりも劣っていました。しかし、機器の改良が進み、今では良質でクリアな画像が得られるようになり、脳の検査として広く使われるようになりました。

無症状で健康な人に脳ドッグをやることの意義

脳腫瘍は一万人に約1.5人(平成22年のデータ)の頻度のようで、無症状の人の脳腫瘍スクリーニング検査に適しているとはいえません。

日本人死因第三位である脳梗塞、脳出血等の急性脳障害も頭部検査だけで予測するには困難です。

急性脳障害でもクモ膜下出血は脳動脈瘤を抱えている人に発症しやすく、発症すると、死亡や神経障害が残存するということがわかっています。

そのような点から、破裂する前の脳動脈瘤の診断、早期治療に頭部MRI検査は有用ではないかという専門家もいます。

では、頭部MRI検査はどんな人が受けたらいい?

ポイント

脳動脈瘤は径2~3mmの極小のものまで含めると、100人中3人が持っているとのこと。

また、脳動脈瘤の大きさやどこにあるかで破裂のリスクが違うと言われています。

脳卒中等の家族歴がある、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙等の危険因子を持っている人は50, 60歳の境目で一度、検査を受けてみるもいいかもしれません。

但し、破裂する可能性の低い脳動脈瘤が発見された場合、かえって憂鬱になったり、不安をもって生活するようになるデメリットも考えておかなくてはいけません。

女性は男性よりも脳動脈瘤になり易い

女性は男性の約1.6倍、50歳以上では、2.2倍とやはり、女性の方が多いです。

未破裂脳動脈瘤の予後を考える

日本の脳神経外科283施設に2001年~2004年までに登録された未破裂脳動脈瘤患者さんを対象にしています。

6697個の瘤の破裂危険因子の分析で平均年齢62.5歳、瘤の最大値の平均は5.7mmで、111個破裂し、年間発生率は0.95%でした。

111個の破裂した瘤を持った患者さんうち、39例(35%)は死亡、32例(29%)は大きな障害があり、クモ膜下出血の予後と大体同じでした、

女性は男性よりも多い

未破裂脳動脈瘤が女性は男性の1,6倍、50歳以上で2.2倍多いようです。

未破裂脳動脈瘤患者さんの予後

日本の283の脳神経外科施設で、2001年~2004年までに未破裂脳動脈瘤患者さんを対象としています。

5720例6697個の瘤の破裂危険因子を分析して、平均年齢62.5歳、瘤の最大値の平均5.7mmで破裂は111個に発生し、年間破裂率が0.95%でした。

破裂した111個の瘤を持った患者さんのうち39例(35%)は死亡、32例(29%)は大きな後遺症があり、クモ膜下出血の予後と大体同じでした。

脳動脈瘤の新生は年齢に比例

女性、喫煙者、高血圧患者、多発動脈瘤のある患者に多く、年間0.2%~1.8%ぐらいの率で新生するという報告があります。

未破裂脳動脈瘤は5mm未満、部位や形状に問題が無い場合、破裂するリスクは一般的に低いと考えられます。

しかし、この程度のものが検査等でわかってしまうことも理解し、実際に検査を受けるべきかを検討すべきです。