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最近はバリアフリーを考えた薬局が随分、多くなりました。入り口には車いす用のスローブがあったり、床の段差を無くしたり、薬袋に点字が打ってあったり……。

しかし、障害者の方が考えていることとズレていることも有ります。

障害者の方が薬局を利用する上で困ったこと、改善してほしいこと、逆に利用してよかった点など、障害者の方の話を参考にこれからの薬局づくりに役立てていきましょう。

肢体障害者が困っていること

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①入口の段差あり

肢体障害は目に見える障害なので、何がどう不便なのかは他の障害に比べてわかり易いと思います。

肢体障害者は薬局でも物理的なバリアーが多いと、今でも感じています。例えば、薬局に入ってすぐに階段があれば、特に車いすの方には厳しいです。

奥に入るのが面倒なので薬を入口までまで持てきてもらうことがあります。

車いすの場合、3センチまでの段差なら超えることができます。

②陳列物が邪魔になる

このような場合は車いすだけでなく、杖をつく人にも不便を感じています。

商店街の中にあるようなドラッグストアのように道路のほうにまではみ出して商品が陳列してある場合、道路が狭くなる分、通りにくいです。

又、店内の通路に商品などを置いてあると、通路自体は車いすも通れるぐらいの幅にしてあっても、商品が置いてあるために通れなくなってしまいます。

③陳列された商品の位置が高すぎる

高すぎると、商品も見えませんし、手に取ることもできません。肢体障害者に限らず、商品の陳列から、店員の接し方まで障害のある人は健常者以上に意識しています。

大体ですが、車いすの人達が利用できる陳列の高さは、身長150~160cmの健常者が普通に起立して、向こう側を見渡せる高さです。

この高さが車いすの人の手が届く限界ということです。

言語障碍者が困っていること

①よく聴いて

言語障害者は、自分に言いたいことを伝えきれないもどかしさがあります。

友人とかふだんからよく知っている人は何が言いたいのか結構、理解出来たりするのですが、初めての人は何を言おうとしているのか理解できないことが結構、あります。

言語障害のある人が利用し易い薬局を目指すのであれば、よく聴きとれなくて大変だとは思いますが、時間をかけ、とにかく話を何度でも理解できるまで聞いてください。

②言語障害の原因を知ってほしい

生まれた時から、あるいは幼少の頃から聴覚を失ったため言語障害がある人は、成人後に聴覚を失った人と違い、自分がどのように話しているのか自分では聞こえないので、話しても、相手には聞き取りにくかったり、全く通じなかったりすることもよくあります。

そして、脳性まひや小児まひなども発声機能に障害があり、言語障害をきたしている場合が多いです。

この場合も話の内容が相手に十分伝わらないことがよくあります。

ただ、時間をかけてゆっくり聞き取れば、理解できるようになるはずです。理解できるまで何度も訪ねるのは、失礼にあたらないと考えられます。

自分の言いたいことがきちんと通じているか、障害のある人は常に不安でいます。

それぞれの障害者が求めていることを理解してほしい

肢体障害の中で特に上体、手が不自由な場合、PTPシートを開けるのがむつかしくなります。

最近はユニバーサルデザインに基づいたシートオープナーも開発されているので薬局でも選択しておいてみるのもいいかもしれません、

言語障害では脳性まひで少しだけ動く指を使って電動車いすを動かしている人がいます。このような人は粉薬をそのままに服用するのが難しく、水に溶かして飲んだりしています。

又、錠剤では嚥下が難しいこともあります。このように障害の種類や程度の違いで服用のポイントも変わってきます。

障害の見極めのむつかしさは例えば、言語障害があるからと言って,全てに同じような困難があるとは言えないということです。

人それぞれの違う障害をどこまで細かく把握するかが重要なポイントです。

障害の原因などによって困っている部分も異なります。

どこでどんな風に困っているのかを薬剤師に把握してもらうためには、服薬指導の時、薬剤師にカウンセラー的な役割をしてもらうことでわかってくると考えます。これを薬剤師の立場から考えると、障害者に限らず、高齢者や健常者であっても薬剤師は同様の立場で接するべきと考えます。

薬局に期待すること

①障害者は薬への関心がより強い

障害のある人にとって薬は大変、重要です。それは薬が障害者の日常を支えているからです。

そのため、自分が服用する薬への関心度は健常者以上に持っています。

従って、薬剤師に臨むことは、薬の特徴や副作用の説明はしっかり行っていただきたいということです。

②睡眠薬に依存しがちな障害者の理解

障害のある人は睡眠薬にも関心を持っています。

障害が重度になればなるほど就労が困難になり、昼間に睡眠をとってしまうことも多く、生活のリズムも崩れがちです。

障害が重度になるほど、又、高齢になるほど、睡眠薬の常用化傾向が強く、薬の専門家からの薬への助言が必要になってきます。

③「誰にでも優しい」をモットーに

健常者でも陳列棚が高いと取りにくいというように、健常者にとって不都合なものは障害者にちおってはもっと不都合になります。

近年、よく言われているユニバーサルデザインとは、単に障害者や高齢者に関係するというだけでなく、みんな、全員に使えるものといった理念に基づいた言葉と言えます。

⓸薬局は地域に欠かせない存在

これは高齢者も含まれますが、障害者は日常生活での行動範囲や生活の範囲が健常者に比べ、狭まれています。

そんな時、薬局は値域の中心的存在として障害者をサポートしていける立場にあります。

それが在宅医療という形でも実現可能です。

薬剤師が障害者である患者さんの自宅に赴き、障害者をサポートしていくのです。

⑤障害者の足が向く薬局作り

今までは、薬局には色んな所にバリアがあったため、障害者は行く気になれなかったのです。

障害者が薬局に行かないから、薬局は障者に対して、どのような応対をすればいいのかわからないという悪循環があったわけです。

そのため、結局、薬局は「変わらない」のです。ますます,疎遠になっていく障害者や高齢者は地域から孤立してしまいます。

そのようにならないためには、薬局が彼らと地域を結ぶ要になることが一番の改善策と言えます。

障害者や高齢者側に立つ薬局を目指したいものです。

先進的な大型ドラッグストアの取り組み

近年は、法律によって一定規模の建造物においては、通路の幅などに規準が設けられています。

例えば、トイレに行くときも車いすが通れるように設計のうちから配慮されています。

そのような大型店舗の中にある薬局は通路が広くなって、陳列にも工夫、レジは目につきやすいところにといった、各所各所でいろんな工夫がされています。

大型店舗は色んな店やコーナーが一か所に集められているため、大変便利です。ただ、大型店舗のある所に車いすの人が住んでいるとは考えにくいです。

本当は近くの薬局で薬を買いたくても、アクセスが難しいので、つい、大型店舗の薬局を利用することになったと考えられます。

何故、このようなことになるのかと車いすの人に聞いてみると、

「家の近くに薬局があっても、車いすを店員さんに持ち上げてもらわなければ中に入れないといった問題が出ます」

などという返事が返ってきました。

つまり、通路の幅などの問題で最初から地域の薬局の利用を諦めてしまっています。

通路幅の問題や陳列台の高さなど、車いすの人たちだけでなく、薬局側の配慮を求めたいものです。

薬局は医療,保健、福祉等の繋ぎ役に

薬局が自分の地域の障害者に関する情報を集めようとすると、プライバシ―の問題、個人情報が障壁となって、情報収集がうまくいきません。

個人情報に関わる部分は「障害のある人のため」としても公開はできません。

しかし、今は医療、福祉、保健が連携しています。

例えば、日帰りデイサービスを利用した障害者がそのデイサービスを受けている施設で、薬の服薬に関して問題を抱えているとわかり、そこの職員がその地域の薬局に相談に行き、解決するといったケースが増えてきました。

又、障害者が薬局に来れないのであれば、薬剤師が障害者のところに行けばいいのです、

障害者からの提言に期待

障害者本人の努力、提言も期待したいものです。最近の障害者達の社会進出は大変めざましいものがあります。

数年前、聴覚障害のある女性が薬剤師の資格を取得しました。薬を扱う側に障害のある人自身が関わっていく時代になりました。

障害の有無に関わらず、自立した有益な地域社会を送るのに、地域の薬局の支えが重要なポイントとなるのです。

薬局で聴覚障碍者が困っていること

聴覚障害のある人が薬局を利用する上で困っている、改善してほしい点、逆に良かった点などを聞いてきました。

①名前を呼ばれても聞こえない

薬局で自分の薬ができるのを待つ時、いつ自分の名前を呼ばれたのかわからない、これが一番のプレッシャーです。

大きな病院では番号札が渡され、自分の番号が電光掲示板につくというシステムですが、薬局もこのようなシステムをとっているところがいいです。

②情報提供文書で

情報提供文書というのを貰いますが、服薬指導を受ける時はそれを用いずに、薬を見せながら説明を受けることが多いです。

せっかく文書があるので、これを使用して服薬指導をしてもらいたいものです。

どこを説明しているのか文を指しながら、段階を追って説明してもらえると、特に相手の口の動きを読める聴覚障害者の場合は、実際の薬と説明を目で追いながら、確認することが可能になります。

③説明内容はできるだけ文章で

薬の種類によっては飲み方が複雑で、何時間おきだとか、何日から服用とか、色んな特殊条件がある場合があります。

又、好くなったら○○は飲まなくてはいいですよ……などといった細かな説明も文書にしてほしいものです。

薬剤師からいつも頂く文書には書いていない説明をされる場合もよくあります。

例えば下記の様なことがあります。

聴覚障害のある母親は子供に薬剤師から受けた説明を子供に繰り返したつもりだったのですが、聴覚障害のない健常者の小学生の子供が「薬剤師さんはこう、言ってたよ」と、指摘され、その時に口頭でも細かな説明があったんだと気づいたことがありました、このようなことを避けるためにもプリントでお願いしたいものです。

⓸質問しやすい雰囲気づくり

薬をもらう時、他の病院でも薬をもらっている時、色んな質問を受けるので、少々、面倒に感じることがあります。

お薬手帳には他の病院の薬も書いてあり、必ず質問を受けます。質問の内容が聞き取れないことが多いので、その服薬指導とやら、とても苦痛です。

かといって、何も説明を受けずに帰ると、飲み方がよくわからなかったりで、飲まずにすますことも時にあります。

質問しやすい、何度聞き返してもいい雰囲気を作っていただくとありがたいです。

⑤口をはっきりと動かして

聴覚障碍者の中には相手が話している時に、耳に入ってくる音と口の動きを合わせると、何を言っているのか理解できることが多いので、忙しい時などは、口をこちらにわかるように動かしてもらうと、100%ではないですが、大体、わかります。

大きな声で話していただくより、唇をはっきり動かしてもらうことと、単語の切れ目をはっきりとつけてもらうことがポイントです。

ただし、「タバコ」「たまご」のように同じ口の動きをする単語などを聞き分けるには限界があります。

そして、日常生活で使用する言葉は理解できても、薬の名前等は想像できないので、口の動きだけではやはり、限界を感じることがあります。

⑥手話を使える薬局は掲示して

「手話ができます」などと薬局の内外に掲示してあると、助かります。

⑦聴覚障害者がきちんと理解しているかを確認してほしい

子供のころからみみが聞こえにくいと、一般的な言葉であっても結構知らない言葉が沢山あります。

そのため、薬の説明の意味が分かっていない場合があります。理解しているかどうか、確認してください

説明の途中、意味を確認しようと思っても薬剤師が一方的に説明しており、中断できずわからないまま最後になってしまうこともあります。

聴覚障害者の意思確認の方法は相手の唇を読む口語法でゆっくり説明、文章にして書く、手話で伝えるなど色んな方法があることを知っておいてほしいです。

⑧支払金額ははっきりと明示を

会計の時に「○○円です」と言われても聞こえなくて聞き返すことが多いです。

今はレジスターについている電光掲示板を見るようにしています。

今は小さな薬局でもレジスターに金額が表示されるので、聞こえなくても表示を見ればいいので助かります。

⑨聴覚障害者自身が症状を説明する時のサポートがほしい

市販薬を購入する時、症状を説明しなくてはいけませんが、

「どんな風に説明すればいいのか」

「何を最低限は言わなくてないけないのか」

などを示せるような、例えば、処方箋受付にあるような問診票があると簡単にできるのではと考えます。言葉も上手く話せないので、長い、複雑な症状の説明は苦手です。

痛みには色んな種類があると聞きました。よく薬剤師から「どんな痛み?」と聞かれますが、このような場合、ズキズキとかシクシクなど擬態語で示すという方法をすれば、症状の説明も短縮できるのではと思います。

その他に相談した相手が薬剤師であった場合はいいのですが、そうでない店員の場合、要領の得ない説明ばかりで、結局自分で決めて薬を買ったこともあります。

薬の相談をFAXで

薬の相談を口頭でしてもらうのはすごい緊張と、理解できない心苦しさでとても重荷です。

こちら側がどうしても相談したい時、電話ではなくFAXで受け、FAXで返答してもらえると助かります。

耳マークの普及

聴覚に障害があるとは外見ではわかりにくいものです。

ある聴覚障害者は薬局が配るカードに耳マークのシールを貼り、薬ができた時は合図をしてもらう様にしています。

薬ができた時の合図をする機器に、振動して知らせる製品化されたものがあります。

これらを設置している薬局はまだそんなに多くありませんが、これからの薬局には期待を寄せています。このような薬局が増えることで聴覚障害者達は気軽に薬局に行くことができます。

薬局で視覚障害者が困っていること

視覚障害者の人は薬局のどんなところに困り、あるいは良い点と感じているのでしょうか?

①薬局内で

薬局、ドラッグストアで困ることいえば、陳列台にある商品を買いたい時です。この頃のドラッグストアは色んなものを売っていますが、勿論、触っただけでは何の商品かはわかりません。

近くに店員がいる時は尋ねることができますが、そうでない時のほうが多く、困ります。

商品の名前を2次元バーコードを音声で読み取る器械のスピーチオや点字などを使って読み取ることができるようになればと思います。

この頃は点字で掲示してあるお店も多くなり、ずいぶん買い物がしやすくなりました。

店員さんに聞こうと思い、声をかけてもその店員さんが薬剤師なのかそうでないのかわからないことがあります。視覚障碍者だとわかった場合、話の前に「薬剤師ですが」と声をかけてほしいものです。

②服薬指導の時

風邪をひき、薬局でうがい薬の液剤をもらいました。この時、薬剤師が「うがい薬を2,3滴、水の入ったコップに落として溶かしてください」と説明を受けました。

「目が見えないので滴下の量がわからないのですがと、話すと粉のうがい薬が出ました。ただ、この時、もらった胃薬も粉薬だったため、区別がつかず、これも困ってしまいました。

薬剤師の方も「見えないということが想像できない」と言っていました。

視覚障害者の方で緑内障の薬を貰った時のことです。

「ふたの色が黄色の方が眼圧を下げる目薬でふたの色が赤のほうが……で」と説明してもらいましたが、ふたの色は視覚障害者にはわかりません。

このような時は触れて区別がわかる様にしてもらえると助かります。

ただ、以前、ふたに輪ゴムを巻いて区別をつけたことがあったのですが、輪ゴムがとれてしまい、結局わからなくなってしまいました。

片方にセロハンテープを巻いてもらった時は上手く使い切ることができました。終わりまでセロハンテープが目薬についたままでよかったです。

その後、次の時に前回と同じようにお願いしますと別の薬剤師に言いましたが、何のことかわからないようで困ってしまいました。

せっかく上手く工夫してもらっても薬剤師間できちんと申し送りがされていなければ何の意味もないなと思いました。.

服薬に関することで困ったこと

①もらったお薬手帳の内容がわからない

点字を打ってもらうのが一番なのですが、全ての薬局がそのように対応してくれるわけではないので行く薬局も限定されてきます。

②薬の区別がつかない

最近の大きな薬局は点字で表示してくれる薬局も増え、便利になりました。

しかし、中には点字が読めない視覚障害の人も結構、います。

糖尿病などで失明された人などは点字を学んでいないという人も少なくありません。

そのような方への工夫の一つとして薬袋の折り方に変化をつけて区別をつけるというやり方もあります。

③薬の飲み方がわからない

これについては視覚障害者も点字シールを貼ったり、一包化にしてもらったりで何とか飲み間違いがないように薬剤師にも気を配ってもらっています。

しかし、そのサービス度合いが薬局ごとで違うので視覚障害者の方はもっと積極的に提言していかなくてはいけないと考えています。

副作用について

風邪薬をもらう時、「眠くなりやすいので車の運転は控えてくださいね」といわれました。

視覚障害者と知っている薬剤師なのに何故、そのようなことを言うのかと、不思議でした。マニュアル通りにしか動けない薬剤師だと思い、次からはよその薬局に行くことにしました。

このような実例は障害者に限らず、日常でも起こり得ることです。

以前よりは親切な薬局が増えました

薬局の対応は依然二比べれば、どこも親切に対応してもらっていることは感じています。

薬薬剤情報の文書でも点字で対応してくださった薬局もありました。ただ点字の使用ができる人は減ってきているので、」ケースバイケースでスピーチオ(前述)などでも対応できる薬局が増えていくともっと薬局を身近に感じられるようになると思います。

誰がいつ、障害者になるかわかりません。生きている全ての人にそのリスクがあるわけで。

常に障害者の目線で考え、改善へと向かおうとする努力は「なるかもしれない自分」の将来をよくしていくことにつながります。

その積み重ねは、全ての人々が生きやすい社会を作り出していくことは間違いありません。

特にかかりつけ薬局は、福祉と医療を結びつける格好の場所です。

障害者の方に体と心の拠り所にしてもらえるよう、薬剤師自身も成長していかなくてはいけません。かかりつけ薬局としの責務は重大です。